敗者の涙②  全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)女子県予選 大分 あれから10日後、3年生の思い

2020/11/07
  • 冬の全国大会

 勝者と敗者を分かつことが酷に思える熱戦だった。全国高校選手権大会(ウインターカップ)県予選の女子決勝。試合終了のブザーが鳴り響くわずか数秒前に放たれた3点シュートが決まり、中津北が86-83で劇的な勝利を収めた。晴れ舞台を目前に涙をのんだ大分・井場田卓監督の言葉がすべてを表していた。「悔しいけど本当にいい試合だった」。緊張で硬さのあった第1クオーター(Q)で8点のリードを許したが第2Qで逆転、終盤はきびきびとした攻防が緩むことなく続き、最後までどちらが勝つか分からない試合だった。

 

 キャプテンの成松朋華(3年)は、「悔しかった。試合が終わった後は何も考えられず落ち込んだ。あの場面でシュートを決めた相手がすごかった。今は歴史に残る試合ができたし、いい終わり方ができたと思っている」と振り返る。最後の試合となった決勝戦から10日後、体育館で下級生を指導する3年生の姿があった。チーム最多の26点を挙げた奈須彩乃(3年)は「私が目標だった30点を決めていれば1点差で勝っていたのに」と悔し涙を浮かべ、山田晶(3年)は「やりきったと思いたいが、もっとできたのではないかとも思う」と本音がポロリ。大学進学後も競技を続ける水田七葉(3年)は、「調子が上がっていただけに残念。大学では絶対にインカレに出る」と目標を切り替える。それぞれ思うことがあるが、共通していたのは「もっとみんなとバスケがしたかった」だった。

 

 中高一貫校の大分は現高校3年生が中等部に入学した時に女子バスケットボール部が創部。彼女たちの歩みとともに3年後に高等部も創部し、6年間で強化を図った。中等部では県制覇し、九州大会でもベスト4入りするなど実績を残した。高等部では鮮やかなデビューで4強に食い込んだ。頂点を取ることは容易と思われたが、そこから苦悩が続く。

 

決勝で敗れ、泣き崩れた大分の選手たち

 

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