トリニータ 躍進を続けるための条件とは
- 大分トリニータ
横パスで揺さぶり“穴”をあける
過密日程の中で戦力の底上げと結果を同時に追求する大分トリニータ。10日のYBCルヴァンカップ第3節で神戸に完敗したが、リーグ戦は6戦を消化し、4勝2敗と好結果を残している。片野坂知宏監督は「リーグ戦はいいスタートが切れている。われわれはチャレンジャーであることは変わらない。得点を取らないと勝点3は取れない」と語り、より攻撃的にアグレッシブに戦う。
ここまでの好調の要因は、戦術の積み上げに尽きる。片野坂監督がJ3から構築したサッカーを、細部まで突き詰めている印象だ。GKを加えた最終ラインから攻撃を組み立て、崩し切る形もあるし、ボランチを経由してサイドアタックもある。6試合で6得点の好調ストライカー・藤本憲明を生かしたカウンターもある。パスワークをベースに、さまざまな攻撃パターンを持っているから、抑えどころを分散できている。
ただ、敗戦した松本や広島戦を振り返ると、「引いた相手に対してビルドアップ(後方からの攻撃の組み立て)がうまくいかず、崩し切れていない」と多くの選手が課題を口にしている。敵の守備ブロックの間でパスを受けようと試みたり、サイドに起点をつくって相手を引きつけてからの展開にトライしているが、確かに守りを固められると攻めあぐねる場面は多い。
今節対戦する仙台は、大分が苦手とする同じ3-4-2-1のシステムを敷く相手。高い位置でボールを奪いにくればパスワークで崩すことができるが、自陣に守備ブロックを築かれたときは苦戦しそうだ。「仙台がどんな形で来るか分からないが、焦れずに攻撃するしかない」と藤本。テンポよくボールを左右に動かして相手を揺さぶり、“穴”をつくり出すことができれば、中盤の小塚和季や前田凌佑のスルーパスが生きてくるだろう。
6試合で6得点の藤本憲明