大分トリニータ 始動レポート 早くも浸透する「新カタノサッカー」 【大分県】
- 大分トリニータ
新シーズンを迎え、チームは生まれ変わろうとしている。監督交代は言わずもがなだが、新加入の大半が高卒、大卒の新人であること。チームの平均年齢は24.9歳と昨季より1歳若くなったこと。さらに今季から週2回の2部練習が決まっていることは、これまで以上に育成に重きを置くクラブの意志の表れでもある。
片野坂監督が多く口にする言葉、それは「4局面の振る舞い」「シームレス」というキーワード。攻守一体のサッカーは「攻撃」「攻撃から守備への切り替え」「守備」「守備から攻撃への切り替え」といった四つの局面が循環している。ただ、これらの局面は切り離すことができず、途切れのない、継ぎ目のない「シームレス」なスタイルを目指すことになる。「若い選手も既存の選手もポテンシャルの高い選手が多いので、チームの中で個が生きるサッカーができたらいいと思う。2部練をして成長につながる練習をしていけば効果は出る。チームを底上げし、競争を生みたい」。目指すスタイルを実践できるように土台を築いている段階、ともいえる。
初日の練習ではランニングやパス回しなど軽めのメニューに終わったが、パス練習では、動きを止めない練習を開幕前から続けていれば、実戦になっても自然と体が反応するようになっていくという意図を、選手が感じとっている様子だった。3年前に大分を指揮していたときは、あえて選手との距離感を保っていた片野坂監督だが、今季はコミュニケーションを図り、選手の力を引き出すことを念頭に置く。「ポジティブに接して、選手が前向きになるようにしたい。指導者はネガティブなプレー、ミスに目が行きがちになるので、それよりも強みを生かしていくことが大事」。ち密な戦術を落とし込み、選手を育成しながら結果を求める。難しいタスクを課せられた指揮官がどのような手腕を発揮するのか、実に興味深い。
800人のサポーターの前であいさつした片野坂知宏監督
(柚野真也)