トリニータ 新戦力を加え後半戦スタート 苦しい状況に変わりはないが下位脱出の糸口は見えつつある
2021/08/08
- 大分トリニータ
片野坂知宏監督は補強に関して「リクエストに応えてくれた」と話すが、予算規模がJ1では底辺の、クラブの身の丈にあった補強と言わざるを得ない。「監督が要望したのは、予算ありきで希望する選手。クラブとしてはもっと武器を持たせてあげたかった。監督のやりくりには感謝している」という西山GMの言葉は、財政が厳しいクラブの正直な思いだ。戦力的な見劣りは否めず、厳しい台所事情のなか、指揮官は選手を差し替え、対戦相手によって柔軟に戦術を変え、打開を試みる作業が今後も続くだろう。
約1カ月の中断期間にコンディションを整え、戦術の確認や熟成に力を入れた。戦力補強で競争が激しくなり、練習の質も上がった。これまで積み上げた戦い方にブレはなく、選手たちは信頼して、片野坂監督が指し示す「一体感を持って戦うこと、自分の最大値を出し切ること」に取り組んでいる。中断前に勝利した浦和戦を試金石とし、これまでよりもボールにプレッシャーをかける守備を念頭に置き、「この場面で行く」「行かない」など、より細部まで選手全体に浸透している。
ただ、これで状況が劇的に改善することはないだろう。だが、数字にとらわれず目の前の試合に全力を尽くすしかない。「残り試合が少なくなると焦り、プレッシャーがかかる」と片野坂監督。これから始まる夏場の連戦で勝ち点を1点ずつでも重ね、巻き返しのチャンスを狙うしかない。
写真は全て大分フットボールクラブの提供
後半戦も片野坂知宏監督の手腕に期待がかかる
(柚野真也)