トリニータの歴史を彩った選手たちの今③ 有村光史(大分東明高校サッカー部監督)

2020/04/10
  • 大分トリニータ

部活動には部活動の良さがある

 

Q:現役を引退して、熊本でアカデミーのコーチをした後に大分東明高校で教員となりました。それまでの経緯は?

 大分を出てから名古屋、神戸でプレーし、ゼロ提示を受けました。大学の指導者の話とかもあったのですが、トライアウトを受けて熊本に引っ張ってもらいました。今では地域リーグでプレーする選手はいますが、当時はカテゴリーがJ1からJ F Lに落ちてまでプレーする選手はいませんでした。カテゴリーを二つ落とすのは厳しい。給料も5分の1になる。悩んでいた時に嫁さんが「現役を続けたいのでしょ」と後押ししてくれて、熊本で2年間プレーし、その後にアカデミーのコーチの勉強をさせてもらいました。その後は縁あって平松学園から体育教員とサッカーの顧問としての採用の話があり、大分に“戻ろう”と思いました。

 

Q:Jクラブのコーチと部活動では指導も異なると思いますが、戸惑いはなかったのですか?

 1年目はカルチャーショックでした。プロを目指す選手と部活動に励む選手の違いに驚きました。選手へのアプローチにしても、試合で戦術うんぬんを教えるのではなく、昨日までリフティングが30回できなかった生徒に指導するわけですから。だけど部活動にも良さがある。自分の目標に向かってサポートする指導もいいなと思います。「30㍍蹴るにはどうすればいいか」と毎日ボールを持って僕のところに来た生徒がいて、2、3日で蹴れるものでないから動画を撮って、指導する。そんな生徒が3年間部活動を続け、しっかりボールを遠くに蹴れるようになる。生徒の「最後まで続けて良かった」という言葉がどんなにうれしいか。目標に向かって成功までの過程を経験したことは一生残ると思っています。違うステージにいっても、その努力はいつか通用する。僕は志と目的意識がある生徒は受け入れるし、その手伝いをしたいと思っています。

 

 

プロフィール

ありむら・こうじ/1976年8月25日生まれ、福岡県出身。東福岡高校-福岡教育大学-鳥栖-大分-名古屋-神戸-熊本、大分トリニータ在籍は4年間。J1リーグ通算76試合1得点、J2リーグ通算124試合7得点など。無尽蔵のスタミナでサイドを駆け上がり、チャンスを演出した攻撃的サイドバックとして活躍。現在は大分東明高校サッカー部の監督を務める。

 

 

(柚野真也)

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