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大分トリニータ 宇津元伸弥 沈黙を破った右足の一撃 大胆さを武器に突き進む 【大分県】

大分トリニータ 宇津元伸弥 沈黙を破った右足の一撃 大胆さを武器に突き進む 【大分県】

 待ちわびた一撃は右足から生まれた―。開幕から2試合、大分トリニータはゴールを奪えずにいた。そんな重苦しさを振り払ったのが宇津元伸弥だった。いわきFC戦の前半15分。宮川歩己が右サイドからクロスを送る。ニアへ古川大悟が走り込む。その動きを見た宇津元は、「あそこ(古川)を越えれば俺のところに来る」と読んでいた。

 ボールは相手DFの頭上を越えた。宇津元は右足を振り、叩きつけるようにゴールへ流し込んだ。今季のチーム初得点。そこから攻撃陣はせきを切ったようにゴールを重ね、西村恭史の2得点、木本真翔のダメ押し弾で4―1。今季初勝利をつかんだ。「1節、2節と勝てていなかったので勝利できたことは素直にうれしい」。宇津元にとっても、今季の方向性を示すゴールだった。

今季のチーム初ゴールを決めた宇津元

 百年構想リーグでは19試合3得点4アシスト。豊富な運動量と突破力、高精度のキックを武器に左サイドの攻撃を担ってきた。ただ、今季求めているのは、その先である。チャンスをつくるだけでなく自ら仕留める。試合を決める選手になることだ。

 そのために四方田修平監督が求めたのが「大胆さ」だった。いわき戦では序盤から迷わず仕掛けた。指揮官は「試合序盤は宇津元の突破でチームが優位に立てた一番の要因だった」と評価する。「監督から『どんどん仕掛けろ』と言われていた。その通りにプレーした」。シンプルな言葉だが、そこには宇津元らしいサッカー観が表れている。独力だけで突破しようとは考えない。古川や三竿雄斗、榊原彗悟ら周囲の動きを見ながらポジションを変え、味方がつくったスペースへ飛び込む。「仲間も自分が仕掛けられるようなパスを出してくれた」と何度も感謝を口にした。

 攻撃だけではない。相手の映像を事前に研究し、守備ではボールが相手の足元に入る瞬間を狙った。ゆっくり間合いを詰め、パスが入った瞬間に一気に加速する。「動画を見て、結構はめやすいと思っていた」。感覚的なアタッカーに見えて、そのプレーの裏側には予測と準備がある。

今季もチームの主軸としてチームを引っ張る

 今季、そのプレーを支えるもう一つの武器がある。昨年から始めたピラティスだ。「体が全然疲れなくなった。体の使い方や柔軟性も自分自身で変わったと感じている」。始めた当初は慣れなかったが、継続することで今季に入り効果を実感するようになった。「体は切れている」と笑う表情にも手応えがにじむ。90分間上下動を繰り返し、仕掛け続ける宇津元にとって自分の体をよりうまく使えるようになったことが、プレーの質を一段引き上げようとしている。

 チームにも変化を感じている。「前を見られる選手が多くなった。ボールを取ってから前を向く姿勢も強くなっている」。その言葉通り、いわき戦では球際で勝ち、奪えば前へ出た。その象徴が左サイドを何度も駆け上がった宇津元だった。2試合続いた沈黙を破ったのは、偶然そこにいた選手ではない。クロスの軌道を読み、仲間の動きを見て、相手を研究し、自らの身体とも向き合ってきた。その積み重ねの先に今季最初のゴールがあった。
 大胆に仕掛け、冷静に考える。今季の宇津元は、その両輪で大分の攻撃を前へ進めていく。 (柚野真也)


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