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目指せ東京オリンピック 女子短距離走・児玉芽生「追い風が吹いている」

目指せ東京オリンピック 女子短距離走・児玉芽生「追い風が吹いている」

 快進撃が訪れたー。今年9月のゴールデングランプリ陸上の100mで優勝し、9月の日本学生陸上競技対校選手権(インカレ)で100mと200m、リレーで3冠を達成。10月の日本陸上競技選手権でも100mで優勝。女子短距離走の児玉芽生(福岡大3年、大分雄城台高卒)が東京五輪に名乗りを挙げた。延期された五輪イヤーを控え、短距離界の新星は、何をつかんだのか。

 

 

Q:今年の好結果について

 昨年の日本選手権は優勝したけどタイムは良くなかった。世界で戦える成績ではないという感じだったので、今年は世界への挑戦を掲げて1年間やってきました。結果的にはいいシーズンでした。日本選手権は連覇できたし、他の大会でも優勝できたので、世界への第一歩は踏み出せたのかなと思います。

 

Q:今年はコロナ禍で、思うような調整ができなかったのでは?

 試合があるか分からない状況が続いた時は、不安や戸惑いはありました。でも五輪も延期になって、あと1年準備ができるのでチャンスと捉えて、本当の意味での世界への挑戦ができるように、タイムを上げることを明確にして練習をしました。

 

Q:練習ができない期間も長かったと思いますが、その期間はどのように過ごしたのですか?

 頭の中で陸上をしていました。(日本人初の9秒台を記録した)桐生(祥秀)さんの動画を見て、「目指している走りはなんだ」「どんなことを意識すれば自分の目標にたどり着けるのか」を考えました。大学の論文などを読みながら、走るイメージをしていました。練習ができる環境にあると実践ばかりになって、頭の整理ができなかった。練習が始まった時に自分の走りが描けていたので、一本一本の走りの質が良くなったと思います。

 

Q:どのように走りが変わりましたか?

 高校の時は前傾姿勢で走っていました。前に足が出てなく、力だけで勝負をしていました。今は骨盤から動かすイメージで走れています。簡単に言えば、体を起こして走るようになりました。今までは正解がわからなかったので、「骨盤を意識して走れ」と言われてもイメージできませんでした。桐生さんの骨盤の動かし方を徹底的に見て、分析し、自分の走りと比較することで、これを目指せばいいというのが分かり、すっきりしました。調子が悪いときも“戻る場所”があるから立て直すのもスムーズにできています。

 

Q:高校までは天才肌のスプリンターという印象でしたが、大学で大きく変わりましたね。

 確かに高校までは感覚で走っていました。今は理論派とまでは言えませんが、大学では走りの解析などをするので意識が変わったと思います。コロナで活動が制限された期間をうまく利用できました。この期間があったから記録が出たと言っても過言ではない。五輪延期はチャンスになったし、すべてがいい方向に向かっています。追い風が吹いています。

 

Q:誰よりも速く走るという感覚は?

 考えたことはなかったです。スタートラインに立ったときは全く周りを意識していない。練習でやってきたことをやろうと考えるだけです。ルーティンをすごくいっぱい決めていた頃もあったのですが、それができないときにテンパってやめました。日本選手権の決勝はゾーンに入っていました。周りの声が聞こえないぐらい集中していました。結果や記録が出るときって何も考えていないのかもしれません。

 

Q:来年はいや応なしにも注目が集まります。

インカレで3冠を取って、日本選手権までの2週間に10社以上の取材を受けました。戸惑いもありましたが、五輪に出るような強い選手はそんなことも乗り越えているんだと思います。有名になるから応援してくれる人も増える。それはうれしいことだけど、期待に応えるために背伸びするのではなく、自分が求めることを来年もやって、結果的に期待に答えられる選手になりたいです。

 

Q:今後の目標は?

 インカレの100mで(日本歴代3位の)11秒35を出してから、日本新記録への挑戦は?と聞かれますが、自分としては安定して11秒3を出すことで、来年もその次の年も見えてくると思っています。プレッシャーのかかる大会で安定して記録を出せば、東京五輪もチャンスがあると思っています。これまでは東京五輪は女子リレーの出場も目指せない状況で諦めの方が大きかったのですが、チャンスは広がりました。まずはチャンスをつかみにいって、次のパリでは出場するだけでなく、メダルを取れるように頑張りたいです。

 

「東京五輪出場をつかみ取る」と語った児玉芽生

 

 2018年1月2日のインタビュー記事はこちら 

 

(柚野真也)

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