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3年生、冬物語 vol.3 駅伝女子 けがを乗り越えたどり着いた夢舞台(大分東明高校)

3年生、冬物語 vol.3 駅伝女子 けがを乗り越えたどり着いた夢舞台(大分東明高校)

 最初で最後の都大路を駆け抜けた。「女子第31回全国高校駅伝競争大会」で17位となった大分東明のキャプテン武井萌夏(3年)は、大会前日に4区を走ることを井上浩監督から告げられた。憧れの都大路を走ることを目標に大分東明に入学したが、「けがが多く、思うような結果も出せず、苦しい3年間を過ごした」という。それでもコツコツと努力を重ね、最後の最後まで目標を見失わずに準備してきた結果の抜擢だった。

 

 4区は1、2年生のときに走者の付き添いとして試走した区間。他の区間よりも見慣れていた。それでもスタート直前は緊張で体が重かったが、タスキを受け取ると自然と力が抜け、沿道で応援する家族の声を聞き取れるほどリラックスして走れたという。卒業後も陸上を続けるかどうか悩んでいるが、「悔いのない走りができた」と笑顔を見せた。

 

最後の冬にタスキをつないだ磯部涼美(写真左)と武井萌夏(同右)

 武井の努力をいつも傍で見ていた磯部涼美(3年)は、「3年間しっかりやってきた結果だよ」と走り終えた武井と抱き合った。磯部もけがに苦しめられた選手の一人だ。1年から全国高校駅伝競争大会に出場した有望株だが、昨年6月に左膝の手術をし、上位が期待された女子3千㍍走で全国高校総体の県予選にさえ出場できなかった。都大路を走ることに気持ちを切り替え、武井とともに復活を目指した。

 

 磯部は「リハビリをしている間に考えさせられることが多かった。支えてくれる周りの方々に感謝できるようになった」と、これまでは1秒でも速く走ることが最優先だったが、チームのためにという思いが強くなった。県予選からエースの証明でもある1区を走り、チームに勢いと勇気を与える力強い走りを見せた。

 

 苦楽を共にした2人の目標だった入賞を果たせなかった悔しさはあるが、「後輩が頑張ってくれる」と武井が話せば、「来年こそ入賞してほしい」と磯部もエールを送った。閉会式を前に「これから何かしたいことはあるか?」と尋ねると、「肉をたらふく食べたい」と同じ答えが返ってきた。大切な仲間と文字通り“走り抜けた”3年間は最高の思い出となっただろう。

 

後輩に全国高校駅伝での入賞を託した

 

 

(柚野真也)

大会結果