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3年生、冬物語 vol.1 駅伝男子  闘走心で駆け抜けた3年間(大分東明高校)

3年生、冬物語 vol.1 駅伝男子  闘走心で駆け抜けた3年間(大分東明高校)

 目標の表彰台へは届かなかったが、年末の男子第70回全国高校駅伝競争大会(京都府)で大分東明は県高校記録を2分近く更新する2時間2分52秒で6位に入賞した。「タイムには納得できたが表彰台に上がりたかった。誰もが6位という結果に対して悔しいと思えたのが成長の証しだと思う」。キャプテンの上野優人(3年)は悔しさを口にしたが、初めて走った都大路で力を出し切ったことに安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 

 最上級生になった当初は苦難の連続だった。「強く発言できるタイプではないので行動で示したかったが、けがで先頭を走ることができなかった。同級生もけがが多く、下級生が前を走ることが多かった」と上野。キャプテンとなったが何を言っても説得力が足りず、心に響かない。不協和音が生じることはなかったが、どこかギクシャクした空気が部内に流れていると感じていた。

 

キャプテンとして部員を引っ張った上野優人

 

 チームは方向性を見失いかけていたが、夏場に走り込む量は例年より多く、それぞれがやるべきことをやっていた。けが人が徐々に復帰した頃に上野は3年生を集め、「このままではいけない。俺たち3年生が引っ張っていこうや」と呼び掛けた。1年の頃から都大路を走るエースの遠入剛(3年)はムードメーカーとして盛り上げ、他の3年生も練習からライバル心を隠すことなく、先頭を争うように走るようになった。上野の提案で体のケア、補強を練習後に一緒にするようになり、部内に一体感が生まれた。

 

 昨年11月の全国高校駅伝競争大会県予選で県高校記録を更新してもおごることなく、本番に向けて気持ちは高ぶるばかり。上野は「下級生も都大路を走るのは自分だと主張するようになり一気にチーム内の競争が高まった」と喜んだ。毎日が選考会のようで刺激的だった。本戦前夜に上野は出走メンバーを集め、「都大路を走れないメンバーの思いを背負って走ろう。レースは貪欲に、きついときは自分を震い立たせよう」と話した。当日の朝には左腕に部訓の「闘走心」とマジックで書き、気合を注入。レース中は闘走心の文字を見ると力がみなぎったという。2区を走った青木森、アンカーとなる7区を走った河野友誠の3年生は、「(最上級生になり)苦しい1年間だったけど最後にいい走りができた。上野がキャプテンとして引っ張ってくれた」とねぎらった。仲間と全力で駆け抜けた3年間は次のステップへとなるはずだ。

 

左腕に「闘走心」と書き震い立たせた出走メンバー

 

 

(柚野真也)

大会結果