
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
6年ぶりのJ1シーズンも残り1試合。リーグ戦4試合を残し、当初の目標であった残留を決めた大分トリニータは、「勝ち点50、1桁順位」に目標を上方修正した。現在、勝ち点47で7位、最終節のC大阪に勝てば、目標は達成できる。優勝と残留、とりわけこの二つの争いから外れたチームが、いかなる方向へモチベーションを傾けるのかが興味深い。
勝利のためには、少なくとも1得点以上を挙げなければならないが、直近5試合でも得点は2試合、複数得点は1試合と苦戦している。後方からパスをつなぎ、試合を組み立て、主導権を握るが、ゴール前を固めた相手に得点できない。2巡目に入った後半戦からの課題だ。
片野坂知宏監督はこの課題に対し、前線の動きをスムーズにするために選手それぞれの役割を明確にしている。実際に前節の仙台戦では多くの時間でオナイウ阿道が前線に張り、三平和司が引き気味にボールを受けてリズムをつくった。得点こそ挙げられなかったオナイウだが、相手の厳しいマークを受けながら起点となっていた。三平も献身的に動き、決定機に絡んだ。
得点への期待が高まる三平和司
今季も徹底した「サイドを起点に置く」ことも、課題解決につながる。中央ばかりにボールを集めても、四方からプレッシャーを掛けられてつぶされるのが関の山だ。一方、サイドならば相手に挟まれる機会はそれほどなく、中央への切り込みを匂わせながら、縦のスペースを狙って加速することもできる。右サイドの松本怜は、「もっと積極的に攻撃参加すれば2対1の局面をつくれる。そうすれば攻撃の成功率は上がる」と話す。個々の役割の明確化とサイド攻撃。この条件を満たすことができれば、勝利はぐっと近くなる。
今季は残留争いに巻き込まれることなく、GKからパスをつなぐ得意のスタイルでJ1リーグに旋風を巻き起こした大分。チームのベクトルをぶらさずに手にした勝利の数々は、選手に大きな自信を与えただろう。後半戦は選手が入れ替わり、対戦相手に十分な対策を練られ苦戦したが、シーズン最後の試合を快勝することで「終わり方」の印象はずいぶんと変わってくる。来季へのステップアップにもなるはずだ。
今季残留争いに加わることなく最終戦を迎える
(柚野真也)
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