大分トリニータ 前半戦総括 連敗を乗り越えてつかんだ手応え 【大分県】
サッカー
NEW!
左サイドから放たれる一本のロングスロー。その軌道は単なるリスタートの域を超え、試合の流れを変える武器となる。柳ケ浦のDF竹田美佐也(3年)は、サッカーのU―17女子アジアカップに臨む日本代表23人に名を連ねた。クラブチーム所属選手が大半を占める中で、高体連所属の選手はわずか3人。その一人として選ばれた事実が、竹田の価値を雄弁に物語っている。
順風満帆な道のりではなかった。昨年11月に腰を負傷。日本一に輝いた全日本高校女子サッカー選手権では初戦こそ先発したが、その後はピッチにほとんど立てなかった。決勝の舞台ではベンチから歓喜の瞬間を見届けた。「うれしさ半分、悔しさ半分」。チームの頂点を喜びながらも、自らの不在をかみ締めた時間だった。今年1月に予定されていたU―17日本代表の海外遠征も辞退。積み重ねるべき経験を断念せざるを得なかった。

それでも、竹田の評価は揺らがなかった。今回の代表選出は積み上げてきた実力が本物である証だ。林監督が「自覚が芽生えた」と語るように、U―16代表候補としての経験は竹田の内面を大きく変えた。左足から繰り出す高精度のキックと、女子選手では珍しいロングスロー。その両輪に加え、守備への意識も高まり、対人の強さに自信を得た。攻撃参加の回数も増え、ゴールに絡むプレーが目に見えて増えている。
原点は小学1年の終わり。兄の背中を追ってはじめたサッカーは、センターバックからキャリアをスタートした。やがてサイドバックへ。ピッチ全体を見渡す位置に立ち、「声を出して周りを動かすこと」を覚えた。今では最終ラインの一角として、攻守両面でチームを支える存在である。セットプレーではキッカーも担い、左足の精度は大きな武器となる。
初めての国際大会に挑む。「体をぶつけ合う激しい試合になると思う」とイメージしながらも、「日本とは違うスタイルと戦えるのが楽しみ」と前を向く。早生まれとして一つ下のカテゴリーで戦う立場にありながら、「プレーだけでなく、声や行動でもチームに貢献したい」と語る言葉に責任感がにじむ。ロングスローでチャンスを生み、攻撃参加でゴールに絡む。自らの武器をアジアの舞台で証明する覚悟だ。

一方で、チームを離れることへの葛藤もある。「今のチーム状況が良いわけではない」と現実を見据えながらも、仲間への信頼は揺るがない。「戻ってきたときに日本代表での経験を還元したい」。その言葉には、個の成長をチームの力へとつなげる意志が込められている。
日本代表は幼い頃からの夢だった。「最初から代表に近い存在だったわけではない」と語るように、決して約束された道ではなかった。それでも努力を重ね、チャンスをつかんだ。「柳ケ浦に来て良かった」。その実感が今の自分を支えている。
目標は明確だ。U―17女子アジアカップ優勝、そして高校での「もう一度、日本一」。ロングスローという象徴的な武器の裏にあるのは、地道な積み重ねと悔しさを糧に変えてきた歩みである。世界と戦う強度と技術を持ち帰ることができたとき、竹田はまた一段、選手としての階段を上る。
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択