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エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチインタビュー 「自分で主張し、成長してほしい」

エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチインタビュー 「自分で主張し、成長してほしい」

 ラグビー前日本代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表HC)は、これまで3度のワールドカップ(W杯)を指導者として経験している。

 2003年のW杯では、オーストラリアHCとしてチームを準優勝に導き、07年は南アフリカのテクニカルアドバイザーとして同国の優勝に貢献。そして15年には日本代表HCとして南アフリカから歴史的金星を挙げ、世界中のラグビーファンに驚きを与えた。

 そんな世界を知る名将が、19年の日本大会ではイングランドを率いて凱旋(がいせん)する。忙しいスケジュールの中、来県したエディー・ジョーンズ氏に現日本代表やW杯について聞いた。

 

Q:今回2度目の来県となりますが、来年のW杯の会場となる大分に印象は?

A:大分に来て、W杯に向けて皆さんのエキサイティングな気持ちが伝わってきました。イングランド代表と(予選を通過して準々決勝の会場となる)ここに戻ってくるのが楽しみです。

 

Q:高校生や指導者に講習した印象は?

A:日本のラグビーのポテンシャルを感じました。若い子たちはもっと自分を出していかなければいけない。そして、コーチ陣もそれを求め続ける必要がある。15年のW杯が終わった後に、日本のラグビー熱も実力も上がりましたが、また同じような成長の時期がきたのかなと思います。選手とコーチが一丸となって成長する必要があります。

 

Q:前回のW杯での印象に残った試合は?

A:アメリカ戦です。南アフリカ戦は誰も勝つと予測していなかった。あの試合は素晴らしかったが、リーグ戦最後のアメリカ戦は準々決勝へ進出できないのが分かっていた状況にも関わらず選手はタフに戦ってくれた。誇りを持ってプレーしてくれた。国のためにプレーし、ヒーローとなった。そして、日本に帰ることができた。あの試合は忘れられません。

 

Q:南アフリカ戦は世界のラグビーファンの誰もが驚いたと思います。今振り返って、どんな思いがありますか?

A:終わった後は正直ホッとしました。エキサイティングな気持ちもありましたが、勝つためのパフォーマンスを発揮するためにハードワークをして報われたわけですから。ただ、ホッとした後すぐに次のスコットランド戦に気持ちを切り替えたのを覚えています。

 

Q:W杯の前の宮崎キャンプでは、緻密なプランで選手を追い込んでいました。他の国でもやって来たことなのですか?

A:それをやらないと勝てない。ラグビー用語でオールアウトという言葉がありますが、限界まで持っていくという意味です。ラグビーにおいてそれをしないと勝てないが、そこで重要なのは追い込みすぎないリミットを知ること。これが大切です。

 

前日本代表HCとして南アフリカから歴史的金星を挙げたエディー・ジョーンズ

 

Q:改めて感じる日本代表の長所、短所を教えてください。

A:日本人の長所は持久力。それも体力的な持久力ではなく、タスク(課された仕事)を与えてやり続け、集中して一生懸命にするところ。それは他の国にない長所です。逆に欠けているのは主張の部分。最初はコーチ陣が主導しなければいけないが、自分たちから自主的にできるようになるのが次のステップだと感じます。

 

Q:今の日本代表の印象は?

A:上達しています。ジョセフHCの下で変化している。15年のW杯が終わって代表選手は年齢的に(次のW杯に出場するには)厳しい選手、気持ちが切れてしまった選手などいましたが、何人かの核となる選手をチームに残して新しい選手を入れることでチームを活性化しました。19年に向けて勝ちたいという気持ちが出ています。

 

Q:その中で大分にゆかりのある選手としてプロップの具智元(グジウォン)選手(日本文理大附高出身)がいます。彼の印象は?

A:実は15年の合宿の時に何度か参加したことがあります。強度を持ってプレーができ、やる気もあるしラグビーに対する態度もいい。ジョセフHCの下でスクラムを組むのがうまくなっています。

 

Q:イングランド代表について、手応えは?

A:停滞した時期が続きました。その時期は疲れてけが人がいてコンディションが落ちていました。これからW杯に向けてピークを持っていきたいです。

 

Q:W杯の成功は、大会後にどれだけのレガシーを残せるかにあると思います。日本にとって最高のレガシーは、どんな形なのでしょうか?

A:15年イングランド大会でラグビー協会がやったことは、W杯の収益を使って若い子が練習するための人工芝のグラウンドを100造りました。日本ラグビー協会は若い人たちのために、そのようなレガシーを残して欲しい。コーチに投資するのか、施設に投資するのか。そのどちらかを。それがラグビーの発展につながるはずです。

 

Q:では、最後に大分のファンに向かってメッセージをお願いします。

A:エキサイティングな時期を迎えます。大分は街が美しく、食べ物もおいしい。みなさんに素晴らしいラグビーを披露したいので、イングランドのユニフォームを着て準々決勝を応援しに来てください!

 

日本のラグビーは成長し続けていると語った

 

(柚野真也)

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