大分商業高校 確かな手応えを胸に、目指すは頂点のみ
- 高校野球
7月8日から夏の甲子園予選がいよいよはじまる。
今年は第1シードの明豊高校、大分商業高校が
昨年秋からの大会を見る限り、頭ひとつ抜けた存在だ。
それでも、チームとは生き物であり、同じものはふたつとない。
どの試合にピークを持っていき、設定した目標によってもチームは大きな変貌を遂げる。
甲子園予選直前企画と題し、シード校8チームと注目2チームを紹介する。
今回は強打を誇る第1シードの大分商業高校。
「今年は完全なる勝負の年」。そう語るのは赴任7年目を迎える渡邉正雄監督。これまでのピッチャーを中心とした守備のチームではなく、今年は勝つために「打」のチームとなる改革を図った。週2日はボールを使わない筋力トレーニングを徹底。全国強豪校の指導者にトレーニング論を聞き、勝てる野球に直結する筋力を鍛えあげてきた。そのトレーニングは体だけでなく、選手たちの意識改革にもつながった。勝つための手段や修正能力、対応力も格段に上がっている。従来のやり方を変えることは容易ではないが、ひとつの変化が確実に形となって現れている。
打力を武器に戦うチームの要となるのは、3年生クリーンナップの渡邊諒、三代大貴、平隼。「彼らが放つ打球は全国でも十分に戦えるレベル」と監督も絶大なる信頼を寄せている。中でも三代は高校通算44本のホームランを記録しており、大分県でもここまで打てるバッターはいないと大きな評価を得ている。試合を決める3番を担う渡邊、バッティングセンスの高い平。そして走力のある福田達也、古江空知、佐藤匠馬がクリーンナップの前後に散らばり、抜け目のない打順で夏に向かう。秋の九州予選、春の県予選ともに決勝戦で明豊に敗れ悔しい思いをしたが、「悔しさを植え付けるよりも頂点を追い続け、この子たちの最後の可能性を引き出したい」と渡邉監督は前だけを見ている。大きな手応えと確かな自信を胸に伝統校の挑戦が始まる。
戦力分析(10段階評価)
攻撃力:8
全国でも戦えるレベルの高いクリーンナップが鍵を握る。スイングスピードが3人ともにプロ野球選手並みの最速145キロを超える。
守備力:8
昨年からマスクをかぶるキャッチャーの後藤がピッチャーを上手くリード出来るかがポイント。ここ最近、急成長をみせている廣澤と福田のセンターラインが軸になる。
機動力:7
様々な状況を想定し、多くの引き出しを持つ野球を重ねてきた。あとはいかに連携を取っていけるか。核弾頭となる広沢の動きも重要となる。
選手層:7
先発メンバーの実力は申し分ない。2番手の選手たちのレベルアップがチームの伸びしろとなる。
投手力:8
エース古江のスライダーは天下一品。代々伝わる“独特の握り”を受け継ぎ、自分のものにしている。全体で7人ほど投げられる選手を持つが、もうひと段階のレベルアップが必須。
優勝候補筆頭の第1シード大分商業高校