大分商業高校・渡邊諒 クリーンアップ最初の刺客
- 高校野球
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スター候補生ファイル #7
渡邊諒
大分商業高校/ファースト/3年/177㎝・80㎏
第1シードとして全国高校野球選手権大分大会5日目の2回戦から登場した大分商業。脅威のクリーンアップ“最初の刺客”となる3番に座るのが渡邊諒だ。試合後に「自分のなかでは気持ちは変わらなかった」と振り返ったが、優勝候補と言われ続け見えないプレッシャーがあったのだろう。いつもの鋭いスイング、的確なミート力を発揮できず、4打数無安打の1三振に終わった。
それでも焦りの表情はなかった。「チャンスで一本出なかったのは反省しなければいけないが、まだ1試合終わっただけ。(優勝するまで)5試合の1試合。次の試合に向けて集中すればいい」とブレないスイング同様、気持ちに迷いはない。「しっかり自分の形で打てるようにしたい」と次の試合を見据えている。
ピッチャーとして入学した渡邊は、エースで4番を狙える逸材だった。同じ学年に三代大貴、平隼といったパワーヒッターがいたことが刺激となった。彼らの一打席に懸ける思い、努力を目の当りにして、「ピッチャーかバッターか、どちらかに専念するべきだ」と考えるようになった。2年の春に悩んだ末に出した答えが「バッティング一本で甲子園を目指す」だった。
そこからバッターに必要な体作りが本格的にはじまった。「太い幹をつくれ」。渡邉正雄監督の指導の下、体幹トレーニングと筋力アップで肉体改造に徹した。1年間で体重が8kg増え、スイングスピードはプロ野球選手並みの145㌔を越えるようになった。渡邊は「打球の伸びが全然違う」スイングを手にした。
狙えばホームランも打てるが、渡邊はつなぐバッティングを求める。理由はこうだ。「後ろ(の打席)には三代も平もいる。僕の役割はチャンスを広げること」。巧打力、長打力、勝負強さを高いレベルで兼ね備えたバランスの良い渡邊に最適な打順である。「チームが勝つために何ができるか考えて打席に入りたい」。試合を追うごとに、本来のアグレッシブな姿を取り戻していくはずだ。