県高校総体 空手道 個人形で羽田野礼凱、近藤寧音が頂点に 【大分県】
2025/06/03
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一方、男子の羽田野の演武には圧倒的な「支配力」があった。赤帯を巻いて先攻。拳を突き出すたびに、会場の空気がピンと張り詰めていく。無駄のない動きと切れのある突き、そして崩れぬ軸。場内に息を呑むような静寂が広がり、演武が終わるとため息がもれる。それほどまでに完璧だった。
4月には中国で開催された東アジア選手権のジュニア部門(16〜17歳)に出場し、初の国際舞台でいきなり優勝。高嶋勉監督は「世界の舞台を経験したことで平常心で競技ができるようになった」と目を細める。羽田野の強みは、力強さに加えて動きの「バランス」があること。足運びが安定しており、突きや蹴りの際にも身体がブレない。技術の高さが随所に光る。
ただ、今大会直前には体調不良が影を落とした。1週間前から高熱に苦しみ、満足な練習ができぬまま本番を迎えた。それでも「優勝しか考えていなかった」と言い切る姿に、王者としての強さがにじむ。練習ではふらつく場面もあったが、本番はこれ以上ない演武だった。羽田野は「精神面が成長できた」と振り返った。
昨年の全国総体ではベスト8に終わった。その悔しさを胸に、今年は“東アジア王者”として堂々と頂点を狙う。「苦手な形があるので、そこを完璧に仕上げたい」と次のステージに目を向けた。
圧巻の演武を見せた羽田野礼凱
(柚野真也)