グッドルーザー(5) サッカー 大分 美しく散ったパスサッカー 【大分県】

2023/11/24
  • 冬の全国大会

 後半も押し込む時間はあったが、攻撃のテンポが上がらず、シュートまで持ち込むことができなかった。小野監督は「サイドから攻撃できたが、最後のゴール前に人数をかけることができなかった」と悔やんだ。再三、右サイドからチャンスをつくった中村勇太(3年)は、「ボールを持つと相手DFが複数で止めにきた。何とかしようと仕掛けたが難しかった」と打開策を見出せなかった。

 

 守備ではGK松木明翔(同)が好セーブを何度も見せたが、警戒していたセットプレーから追加点を奪われた。2度目のリードを許してからは、守備を固めて鋭いカウンターを狙う柳ケ浦の前に、シュート1本に終わった。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、膝からがくりとピッチに倒れ込む者、あおむけになって寝転ぶ者、両手を顔に当てたまま動けない者など、大分の選手は現実を受け入れるのに時間を要した。中村は「頭が真っ白になった。何も考えることができなかったが、自分たちのスタイルは出せたと思う。ただ、このメンバーでもうサッカーができないことが悔しい」と涙を流した。守備を固めるチームに苦戦したが、大分の伝統であるパスサッカーは、見る者を魅了した。

 

好セーブを見せた松木明翔

 

 

(七蔵司)

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