
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
サッカー
澄み切った秋の空に試合終了を告げるホイッスルが響きわたる。次の瞬間、初優勝を決めた日本文理大学付属の選手も、あと一歩及ばなかった大分の選手も、相次いでピッチの上に倒れ込んでいく。その光景が、この日の激闘を物語っていた。全国高校サッカー選手権大会県予選決勝。3連覇を目指す大分は、新チームとなり県高校新人大会、県高校総体と無冠に終わり、負けられない試合だった。
序盤は“舞台慣れ”している大分ペースになるはずだったが、日本文理大学付属は初の決勝でも物おじすることなく、強い守りと個人の能力を最大限に生かした攻撃で大分ゴールを脅かす。劣勢が続いた大分だが、前半11分に前園陽人(2年)のシュートのこぼれ球を堤聖司(3年)が流し込み先制を奪う。ここで流れを変えたかったが追加点のチャンスに決めきれず、31分に追いつかれる。後半開始直後の3分に再びリードを奪ったが、勝ちたい思いより、逃げ切りたい思いが強かった。「守りに入ってしまった」と堤は悔やむ。
2度リードしたが勝利は遠かった
7月の高校総体の決勝戦もリードを守り続けることができず、延長戦で力尽きた。「あんな思いはしたくない」(堤)と、ひと夏を越え、九州の強豪校と練習試合を重ねて力をつけたはずだった。ボールは回せるものの、連動性に欠き、効果的な縦パスが入らない。守備では前からプレスを狙うが、思うようにハマらない。何とか点を取ろうと堤任せになり、ロングボール一辺倒になる。堤は「同点になってから何度かあったチャンスを外してしまった」と自分を責めた。
今年のチームは例年に比べ小粒。「期待されていないのは分かっていた。だからこそ自分たちらしさを出して、結果で見返したかった」。これは3年生全員の思いだった。課題であったリードしてからの試合運びに悔いが残った。それ以上に、大一番で自分たちの強みであるパスワークが披露できず、リスクを意識し過ぎて単純に前へボールを蹴ってしまったことが大きな問題だった。そして結局は、数度のチャンスを決める力もなく…。
どんな苦しい状況でも平常心で正しい選択をしてプレーする。それには日々の積み重ねが必要で、練習からやり切らないといけないことだ。「まだまだ足りなかったということ」と涙した堤は、この悔しさを次のステージの糧とする。1、2年生は、これまでの甘さを払拭する機会となったはず。大一番で自分たちのスタイルを出し切れる選手、チームになるために、もう一度立ち上がる。
3連覇まであと一歩及ばなかった
(柚野真也)
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