3年生、冬物語 vol.3 駅伝女子 けがを乗り越えたどり着いた夢舞台(大分東明高校)

2020/01/18
  • 冬の全国大会

 武井の努力をいつも傍で見ていた磯部涼美(3年)は、「3年間しっかりやってきた結果だよ」と走り終えた武井と抱き合った。磯部もけがに苦しめられた選手の一人だ。1年から全国高校駅伝競争大会に出場した有望株だが、昨年6月に左膝の手術をし、上位が期待された女子3千㍍走で全国高校総体の県予選にさえ出場できなかった。都大路を走ることに気持ちを切り替え、武井とともに復活を目指した。

 

 磯部は「リハビリをしている間に考えさせられることが多かった。支えてくれる周りの方々に感謝できるようになった」と、これまでは1秒でも速く走ることが最優先だったが、チームのためにという思いが強くなった。県予選からエースの証明でもある1区を走り、チームに勢いと勇気を与える力強い走りを見せた。

 

 苦楽を共にした2人の目標だった入賞を果たせなかった悔しさはあるが、「後輩が頑張ってくれる」と武井が話せば、「来年こそ入賞してほしい」と磯部もエールを送った。閉会式を前に「これから何かしたいことはあるか?」と尋ねると、「肉をたらふく食べたい」と同じ答えが返ってきた。大切な仲間と文字通り“走り抜けた”3年間は最高の思い出となっただろう。

 

後輩に全国高校駅伝での入賞を託した

 

 

(柚野真也)

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