トリニータ2段階昇格に導いた片野坂監督の哲学

2018/11/19
  • 大分トリニータ

 J2リーグ最終節で6年ぶりのJ1復帰を決めた大分トリニータ。就任1年目でJ3からJ2に昇格させた片野坂知宏監督は、同一クラブで史上初の“2段階昇格”の偉業を達成した。信念を貫いた指揮官の今季の戦いぶりと采配の秘密に迫った。

 

 就任1年目の片野坂監督は、広島でのコーチ時代に影響を受けたペトロヴィッチ監督(現・札幌)のスタイルを参考に、GKを含めた後方から丁寧なパス回しをして、攻撃を組み立てるサッカーを志向した。それはプレースタイルの面において一つの形となったが、プレーの質が上がっただけでは昇格に結びつかなかった。

 

 「点を取らなければ勝点3は取れない」(片野坂監督)。昇格のための最大の課題がそこにあると考えた。そこで3年目の今季は、丹念にボールを回しながら相手の隙を探す作業に特化した。プレスのかけ方や、ポジション取り、ボールを奪った後の動きなどを、具体的なアクションを交えながら事細かに選手に示した。「今年はウオーミングアップからやり方が変わった」と安田好隆コーチ。「前の試合の修正を落とし込み、自分たちはどんなプレーをしたいのか、相手はどんなプレーをするのか。選手に意識させた」

 

 今季の基本システムは、3—4—2—1。1トップ2シャドーが互いにスペースをつくっては、そのスペースに流動的に動きながら、相手のほころびを突く。中盤は両サイドアタッカーと2ボランチ。ピッチの横幅を広く使い、ボランチが大きなサイドチェンジを駆使する。守備時は両サイドが最終ラインに加わり5—4—1のブロックをつくる攻守のバランスを重視した戦術を採用した。

J1昇格を決め、選手と喜びを分かち合った

 

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