
大分トリニータ シーズン総括 戦い方を徹底できず低迷、降格危機で現実路線へ 【大分県】
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「カタさん(片野坂知宏監督)の6年間の集大成。男にしたい」。天皇杯全日本選手権の決勝を控え、いつもはクールな松本怜が熱い思いを語った。チーム在籍9年目の最古参であり、片野坂監督とは6年もの月日を一緒に過ごした。松本は「カタさんとの出会いがなければ今の自分はない」と言い切るほど、自分のサッカー人生において多大な影響を受けたという。
片野坂監督と出会うまでの松本は、天性のスピードを生かしてサイド突破を狙う瞬発系の選手だった。その松本が片野坂監督の指導を仰ぎ、「考えてプレーするようになった」。片野坂監督のサッカーは選手個々の明確なポジショニングと徹底された戦術で成り立つ。ピッチ内での動きを組織化することが、試合を進める上で一番重要な要素となる。松本は「自分に与えられたスペースの中できっちり守備をし、攻撃のときもそのスタートポジションから自分の特徴を生かすことが大事だと考えるようになった」と話す。
天皇杯決勝に向けて調整する松本怜
重要なのは、良いポジションを取ること。そうすることでワンタッチ、ツータッチのプレーが可能になった。無秩序に動き回ると競り合いが多くなり、無駄なドリブルをしたり、明確な意図がないプレーにならざるを得なくなっていたが、今では無駄がなく、実にシンプルにプレーする頭脳派選手へと変わった。
大分のJ3時代を知る松本は、J1に昇格した2019年から、「大分でACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場したい」と公言してきた。天皇杯で優勝すればACLの出場権を獲得できる。「ACL出場が手の届くところにある。このチャンスを逃したくない」と強い思いで決勝に臨む。
今季はリーグ戦での出場機会が少なく、「カタさんを勝たせてあげられなかった」と悔やむ。今季限りで退任する「戦友」と共に戦う最後の試合で花道を飾らせたいとの思いは誰よりも強い。「『何かを成し遂げるときにはチームが同じ方向を向いて、信念を貫くこと』をカタさんから学んだ」。集大成となる大一番で片野坂監督のサッカーを熟知する松本が“大きな仕事”をやってのけそうな雰囲気がある。
写真は全て大分フットボールクラブの提供
決勝でも活躍が期待される
(柚野真也)
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