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大分トリニータ 強烈な個、組織で制す リーグ王者を下しタイトルに王手

大分トリニータ 強烈な個、組織で制す リーグ王者を下しタイトルに王手

 第101回天皇杯全日本選手権の準決勝で、大分トリニータはリーグ王者であり、大会連覇を狙う川崎フロンターレと対戦。延長戦でも決着がつかず、P K戦の末に勝利し、クラブ初の決勝進出を果たした。決勝は19日午後2時から、国立競技場で浦和レッズと対戦する。

 

 ボールを川崎に持たれる時間は長かった。大分がひたすら忍耐を強いられる流れは、延長戦になっても変わらない。一つのミスも許されず、緊迫感と戦いながら、球際の寄せの手綱を緩めなかった。選手一人単位でみれば、リーグ戦を制覇し、ベストイレブンに7人もの選手が選出された相手にはかなわない。まばゆい強烈な「個」に対し、大分は粘り強く、集中力を切らさなかった。1人かわされても誰かがカバーし、最終局面では体を投げ出す。一人一人がその意識を保ち続けた。

 

 与えてはいけない先制点を延長後半8分に奪われ、一気に気持ちの糸が切れると思われたが、戦う姿勢は崩れなかった。この試合、幾度も好セーブでチームを救ったG K高木駿は、豊富な運動量で攻守のつなぎ役となり、ボールを持ち上がるM F下田北斗は堂に入ったものだった。D Fのエンリケ・トレヴィザンは相手のエースを冷静に抑え、終盤は最前列でターゲットとなり、値千金の同点ゴールを決めた。

 

攻守で活躍したエンリケ・トレヴィザン

 「選手は疲労している中、戦う姿勢を持ってくれた。相手の方がうまさがあり、個で打開されることもあったが、高木を中心に粘り強く守ってくれた」と片野坂知宏監督。今季リーグ戦で不本意な試合が続き、J2降格の憂き目にあったチームが、リーグ王者を撃破。華より実を取るたくましさを120分間全うし、大一番で「個対組織」のバトルを制してみせた。

 

 殊勲の高木は「僕たちには失うものは何もないし、決勝という素晴らしい舞台で戦うチャンスを得ることができた。思う存分力を発揮したい。来季はJ2で戦うが、ここで優勝することができれば確実にチームの未来につながっていくので、なんとしてでも勝ちたい」と話した。神経を研ぎ澄ませ、忍耐強く戦い続ける。それがJ1復帰への筋道であると、全ての選手が把握している。

 

写真は全て大分フットボールクラブの提供

 

ビッグセーブを連発した高木駿

 

 

(柚野真也)