TURNING POINT〜つきぬけた瞬間〜#01 「失うものは何もない」(坂井大将・テュビズ)
- ターニングポイント~つきぬけた瞬間~
テュビズが坂井を追いかけ始めたのは、昨年10月のU‐19アジア選手権から。この大会でキャプテンとしてチームの中心となり優勝に貢献し、今年5〜6月のU‐20ワールドカップで好プレーを披露した逸材の獲得に迷いはなかった。
西山哲平強化育成部長は「今回の移籍は坂井自身が勝ち取ったものだ」と話し、「クラブとして坂井を今度どうやって育成しようかと考えたときに、2020年東京オリンピックに大分トリニータの代表としてプレーしてもらいたいと逆算した。彼のサッカー人生において、どの決断が有益かを考えたときに本人の強い意志を尊重した」と移籍の経緯を説明した。
坂井にとって初めての移籍。しかも言葉も文化も異なるチームに“助っ人”として招かれたわけだ。当然、レギュラーの座をつかめるかはアピール次第。すでに坂井が戦うベルギー2部リーグは開幕しており、チームが出来上がっている。監督の信頼を得て、ピッチに立つのは容易ではない。「167㌢」というサイズを懸念する声をあったようだが、坂井にはそれを補って余りあるゲームメークセンスと卓越した技術がある。パスを出したらリターンをもらいに動き、この基本の積み重ねで攻撃を構成し、試合の間もつくる。この献身性が評価を高めたようだ。
坂井自身が掲げる当面の目標は、やはり定位置奪取だ。坂井は会見の場でこう決意表明した。
「国外でプレーできるチャンスは多くはないし、海外で暮らす経験も人生においてなかなかない。選手として人間としてたくましくなり、ベルギーで結果を残したいと思っている。東京オリンピックの後も代表で活躍したい」
大分から1年の期限付き移籍で契約を結んでおり、その後のオプションは提示されていない。1年で結果を残さなければ次はない。いばらの道を選んだが、外に飛び出したことで秘めた才能を爆発させ、ターニングポイントになったと言える日がくるはずだ。
(柚野真也)