
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
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スポーツの世界において、自身のパフォーマンスを最大限に高めるためのコンディショニングに注目が集まっている。その波はプロスポーツから中高生のアマチュアスポーツにも広がっている。
大分県内のコンディショニング最前線を探る特集の第2回は、ここ数年で急速に力をつけている日本文理大学女子ソフトボール部を紹介する。ソフトボールの社会人リーグで活躍した長沢佳子監督が就任して以降、コンディション管理を徹底。けがをしない体づくりが、強さのベースとなっている。
ソフトボールの社会人リーグ豊田自動織機に所属していた長沢監督が、現役時代にコンディションを記録していた管理ノートをベースに、コンディショニング管理ツールとしてアプリを使用し始めたのが2年前。それまでは紙ベースで毎日選手に提出させていた。「紙の方がコミュニケーションは取りやすいメリットがあるけど、アプリは指導スタッフ全員で共有でき、管理しやすい」と長沢監督は話す。部員55人が在籍する日本文理大学女子ソフトボール部。長沢監督、笹田知里コーチが常時選手を指導し、臨時でトレーナーやサポートスタッフがフィジカルの強化やケアを行う。「けがをしない体づくり」がモットーの部において、自分自身の体を知る体調管理は重要だ。
入部した選手がまず覚えなければいけないのが体調管理。その日の体調チェックから始まり、睡眠時間や脈拍、練習前後の体重測定など、項目は多岐にわたる。さらに練習でのキレを5段階評価し、キレが良かったときの項目をグラフ化した。「どう過ごせば、どんなパフォーマンスになるか明確にできるようになった」(長沢監督)。アプリのチェックは毎日必須で、選手の中からアプリ担当を2人決め、提出を徹底している。
コンディション管理を徹底し、練習の質を上げている
長い間、トップリーグで活躍した長沢監督。「社会人リーグでプレーするためには自己管理できなければ通用しない。大学の時からしっかり勉強する必要がある」と、経験に裏打ちされた説得力がある。また、「けがの予防も大事だが、女性ならではの健康管理は、月経痛の緩和だけでなく、貧血を予防し、パフォーマンスの低下を防ぐことにつながる。体のケアをするためにも知識は必要」と話す。
キャプテンの床次栞奈(4年)は「その日の調子が脈拍や睡眠時間で分かるようになった。毎日の生活習慣を考えるようになったし、練習も試合も考えてプレーするようになったのは自己管理ができるようになってから」と話し、渋谷舞(同)は「コンディションを上げるには睡眠時間を長くすればいいと思っていたが、私の場合は睡眠時間を抑えた方が体にキレが出ることが分かった。アプリを使い始め、けがをする前の段階でこれ以上はヤバいと気づくようになり未然に防げるようになった」と成果を口にした。
来春卒業の4年生から床次と渋谷を含め4人が社会人リーグに内定しており、今後もコンディション管理は手放せないという。
今年度、全日本大学ソフトボール選手権、西日本大学ソフトボール選手権でそれぞれベスト8入り、福井しあわせ国体ソフトボール成年女子にも出場した日本文理大。9月に4年生が引退し、新チームになった。主力が大幅に抜け、経験の少ないチームは紅白戦や練習試合を重ね、底上げをしなければいけない。長沢監督は自己のコンディション管理を必須とした上で、「全員が横一線からのスタート。この冬で一気に伸びる選手が出てくる可能性もあるし、それも本人次第」と、選手の猛烈なアピールを期待している。「九州で勝つのは当たり前。圧倒的な強さで勝つ必要がある。試合内容にもこだわりたい」と11月の新人大会で圧勝を見据えている。
己を知り、パフォーマンスが上がったと話す床次栞奈(左)と渋谷舞(右)
コンディショニング特集
(柚野真也)
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