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悔しさをバネに小さな妖精は飛び立つ 体操 久保百々羽(大分市上野ケ丘中1年)

悔しさをバネに小さな妖精は飛び立つ 体操 久保百々羽(大分市上野ケ丘中1年)

 身長131㌢、小さな体で見事な演技を披露する。昨年11月、12歳以下の体操の全国大会「第13回全国ブロック選抜Uー12体操競技選手権大会」(全国選抜大会、岩手県)、女子平均台で優勝した体操界のニューヒロインの名は久保百々羽(大分市上野ケ丘中1年)。小学校の頃から通う大分体操クラブで今も技を磨く。

 

 体操を始めたのは5歳の頃。保育園で運動神経がいいと言われ、勧められたのが体操だった。脚力があり、瞬発力に優れ、負けず嫌いで几帳面。体操との適性は良く、すぐに才能を発揮した。当時から指導する山本進コーチ(大分体操クラブ)は久保のすごさをこう語る。「時間をかけなくて、やろうとすることが習得できる。手取り足取り教えることはない。そこはすごいところ。スピードと判断力があり、技を出すときにほんの一瞬の間を自分でどう表現するかを上手に組み立てることができる」

 

 空中に滑らかに円を描くしなやかな腕と脚。息をのむほどの跳躍や回転。その対極にある緩やかな動きと一瞬の静止、全身がゴムまりのように体を軽々と浮遊させる。久保は乾いたスポンジが水を吸収するように、次々と難易度の高い技を覚えた。

 

小さな体で見事な演技を披露する久保百々羽

 

 順調に成長した久保は、小学6年時にはレベルの高い九州大会で個人総合1位となり、全国選抜大会に出場。優勝候補の一人として名前が挙がるほど注目される選手になったが、大会前に体調を崩し、本番では納得のいく結果が出なかった。「あんな百々羽を見たのは初めて。どうすることもできない状況だったが平均台で優勝できたのは奇跡だ」と山本コーチ。最初の種目の跳馬で11位となり、段違い平行棒でまさかの113位だったが、平均台で意地を見せ、ゆかは82位。総合59位で大会を終えた。

 

 あれから5カ月余り、悔しさを胸に中学生となり心機一転。久保は「(勉強との両立は)大変だと思うけど、しっかり充実できるように頑張りたい。今やっていることをしっかりできるようにして、もう少し奇麗さを求めていきたい。(小学生の時と比べて)採点が違って、中学生の方が厳しいので、それに対応できるように練習していきたい」と語った。演技中のふらつきや倒立の角度、足の曲がり方といった細部にこだわり、減点をなくすことが最初の課題となる。

 

 夏の全国中学校大会に向けて再スタートを切った小さな妖精は、美しい体操を求め、これからも進化する。

 

 全国大会での優勝が目標となる

 

(柚野真也)