
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
高校3年生にとって最後の公式戦となる冬の全国大会。県代表の誇りを胸に集大成として大一番に臨んだ選手を追った。
全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)に3年連続11回目の出場となった中津北高校の屋台骨は3年生の5人だった。大津留礎監督は「やはり信頼できるのは3年生。この大会に懸ける思いが強かった」と先発に3年生4人を並べた。しかし、安定感のある3年生であっても全国舞台の初戦は緊張で体が重かった。得意の外角からのシュートもことごとくリングに弾かれ、最初の10分間での得点はわずか4点。第1クオーターの19点ビハインドは最後まで埋めることができずに敗戦した。
得点源となる城戸美咲、平川稚尋の両エースの調子が最後まで上がらなかったのは誤算だったが、他の3年生3人が奮闘した。身長155㌢の友成穂風は、小さな体で誰よりもコートを駆け回り、相手の攻撃を封じるために激しいプレッシャーをかけ続けた。体格で勝る相手に何度弾き飛ばされても、「自分の役割はディフェンス。中津北の武器もディフェンス」と自分たちのスタイルを体現した。いつもは“守備の人”ではあるが、この試合では3点シュート3本を含む11得点と攻撃でもチームを引っ張った。「3年間いいことも悪いこともあったけど、みんながいたからここまで来ることができた。3年生は個性が強くバラバラになった時もあったけど、言いたいことを言い合えた。負けたのは悔しいけど力は出し切れたかな」と笑顔で振り返った。
中津北伝統のゾーンプレスで善戦した
右膝前十字靭帯を損傷した木村彩華は、昨年8月に復帰。「高校3年間の集大成」と位置付けたウインターカップに間に合った。本調子ではなかったが、けがと向き合い途中出場してチームの力となった。「自分の役割に徹する」と試合前は同級生、下級生に声を掛けた。コートに立てば、「周りの支えがあって今がある。悔いのないプレーをしよう」と気迫あるプレーでチームを活気づけた。14分のプレータイムには感謝の気持ちが詰まっていた。試合後は誰よりも涙した。「インターハイを逃したので何としても後輩を全国大会に連れて来たかった。私たちは1回戦で負けたけど、ベスト8を狙えるチームになってほしい」と後輩に夢を託し会場を後にした。
2得点に終わった後藤祐佳だが、ゴール下で汗かき役となりチームを支えた。「派手さはないが堅実にプレーできる」と大津留監督が話すように、ポストプレーで相手のマークを引きつけ、味方にフリーでシュートを打たせる。果敢にゴール下に飛び込み、思うようにリバウンドは取れなかったが相手に簡単にボールを与えなかった。「会場の雰囲気にのまれ、いつも通りのプレーができなかった」と悔やみながらも、3年間の練習の成果をプレーで発揮した。試合後は多くを語らなかったが、「まだみんなとバスケがしたい」とポツリと話した言葉は、3年生全員の気持ちを代弁していた。
ゴール下で体を張った後藤祐佳
3年生、冬物語
vol.1 不遇の時代を過ごした3年生が礎を築く(別府溝部学園高校)
(柚野真也)
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