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コンディショニング特集① アプリでコンディション管理 柳ケ浦高校サッカー部

コンディショニング特集① アプリでコンディション管理 柳ケ浦高校サッカー部

 スポーツの世界において、自身のパフォーマンスを最大限に高めるためのコンディショニングに注目が集まっている。その波はプロスポーツから中高生のアマチュアスポーツにも広がっている。大分県内でコンディショニングを重視して指導を行う部活動、多くのアスリートを診てきた医師や整体師、食事・栄養面をサポートする栄養士などを連載で取り上げる。

 第1回目は、県内屈指のサッカー強豪校・柳ケ浦高校。部員96名の大所帯のチームは、選手一人ひとりのコンディション管理を徹底するために1年ほど前からアプリを使用し、コンディションやフィジカル、これまでかかった病気やけがの既往歴などをデータで一括管理している。

 

フィジカル力を全面に出したスタイル 

 

 グラウンドのあちこちから自然に仲間を叱咤激励する声が響いてくる。「まだまだ走れるぞ」「負けんな!」。球際の競り合いでは激しい声も飛ぶ。選手たちが高い集中力を持って練習に臨んでいる証拠だ。取材当日は夏合宿の初日とあって、いつもと違う緊張感が漂っていた。

 

 全国高校選手権大会(選手権)、全国高校総体(インターハイ)の出場を目指し、県内だけでなく全国各地から選手が集まる。県内私学の雄・柳ケ浦高校には、毎年能力の高い選手が入学してくるが、走り負けないフィジカルの強さを全面に押し出したスタイルを貫く。野口健太郎監督は、「高校3年間で技術的な成長は限られている。それなら一番効果のある身体能力を上げることに力を注ぎたい」と話す。フィジカルを高める指導をいち早く取り入れ、外部コーチを積極的に招へいし、チーム強化、選手育成に余念がない。

 

 「夏場に徹底的に走り込まなければ勝てない」と野口監督の方針もあり、1年間戦える体を計画的につくる重要な期間と夏休みを位置づけ、通常の練習より負荷の高いメニューをそろえる。それだけに「選手を預かる身として細心の注意を払わなければいけないと肝に命じている」。

 

夏場に1年間戦える体をつくる

 

どんな便利な道具が登場しても最後は気持ち

 

 選手個々のデータを管理し、最新の知見を取り入れているが、数字だけにとらわれることはない。練習の合間に話しかけ、選手の顔色や体調をチェックする。合宿や遠征などの食事の席には必ずコーチ陣が選手と一緒の席に座り、一人ひとりとの会話を重視する。合宿の初日の昼食では、野口監督自身が選手にご飯のおかわりを促し、茶碗に盛る姿が見られた。どんなに便利な道具が登場しても使うのは人間だし、サッカーをするのも人間だ。「互いの人間関係こそが重要」との認識が強い。

 

 「最後は気持ちの部分。自分たちはこれだけの練習をした、ここまでやってきたという気持ちが大事。それが自信となる。だから夏場の練習は極限まで追い込む」と野口監督。全ては試合で勝つための布石なのだ。勝ちを狙いにいくことで、あるいは実際に勝つことで、どんな準備が必要なのか、どんな心構えでいるべきなのかという勝者のメンタリティを身に付ける。もちろん、試合だから勝てないこともあるが、勝てない悔しさを知るのも大切だし、勝てなかった悔しさをどう生かすべきかが自然と身に付いていく。

 

 新チームになり、県新人大会を制した。夏のインターハイ出場は逃したが、今は気持ちを切り替えて選手権出場に照準を絞る。10月から始まる県予選に向けてし烈なメンバー争いが、この夏も繰り広げられている。

 

人と人とのコミュニケーションを重視する野口健太郎監督

 

コンディショニング特集

日本文理大学女子ソフトボール部

国東高校女子バレーボール部

大分トリニータ

 

(柚野真也)

 

アプリは現代版サッカーノート

 

 とはいえ、部員96名を監督、コーチの指導者4人で管理するのは難しい。「真面目な子が多く、頑張り過ぎる。けがをしていても隠したり、睡眠、食事が足りないのに無理をして練習をする」と大石純也コーチ。そこで食事摂取の有無、睡眠時間、起床時の体調、肉体的・精神的疲労などが簡単に記録でき、選手と指導者が共有できるコンディション管理アプリを取り入れたのが約1年前。個人差はあるが、前述の項目など、選手が記録することで自分自身のコンディショニングの意識が向上した。

 

 錦織智也(3年)は「食事に気を使うようになった。けがは元々少ない方だが、練習前や練習後のケアを意識するようになった」と話し、小深田隼士(1年)は「自分の調子がいい時の食事内容や睡眠時間をすぐに確認でき、実行できる」と上手に活用している。また、半数以上の選手が親元を離れて生活しているため、保護者にそれぞれのパスワードを渡し、我が子の記録を見ることができ、「毎日何を食べて、どんな状態なのか分かる」と好評だ。

 

 コンディション管理以外にも、試合や練習などのスケジュールも管理できる。けがや病気など既往歴も管理でき、口に出して言えないこともテキストにして送ることができる。「指導者と選手がやりとりする昔のサッカーノートが進化したようなもの」(大石コーチ)と指導者とのコミュニケーションツールにもなっている。

 

コンディショニングアプリを利用したことで選手自身の意識が向上

 

大会結果