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熱戦を彩ったヒーローたち 夏の甲子園予選 その3

熱戦を彩ったヒーローたち 夏の甲子園予選 その3

第100回全国高校野球選手権記念大分大会

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熱戦が繰り広げられた夏の甲子園の県予選で

強烈なインパクトを放った選手たちを紹介する。

 

不完全燃焼のスラッガーに無限大の可能性

 

浜田太貴(明豊高校3年)

176cm、76kg、沖田中学校出身(福岡)

 

 今大会注目のスラッガーは不完全燃焼のまま高校野球を終えることになった。昨夏は驚異の2年生打者として、甲子園で2つの本塁打を放ち、全国にその名をとどろかせた浜田太貴。新チームになってからは、「少しでも多くの打席に立ち、ランナーを返してほしい」と川崎絢平監督は3番に固定した。

 監督の期待に応え、チームの主力としての自覚が芽生えた。得点圏では「自然に集中力が高まる」とチャンスに強い打者として相手にとって脅威となった。飛距離は天性のものだが、左の強打者は引っ張るだけではなく、逆方向にも長打を打ち分けるバッティングを練習で手にした。強振するのではなく、しなやかでバットのしなる力を引き出すようなスイングでボールを捉え、好成績を残してきた。

 ただ、今大会は初戦の大分工業戦で1安打1打点、続く大分商業戦で2安打3打点と活躍したが、その後は目立った成績は残せなかった。何よりも本塁打を放つことなく幕を閉じた。相手投手が四球覚悟で際どいコースを突き、思うようにバットを振らせてもらえなかった。「自分が打っていれば違う結果になっていた」と、甲子園出場を逃した悔しさを噛み締めた。

 川崎監督は浜田と過ごした3年間で、目に見えない成長があったことを挙げる。「野球に対する理解が深まったことで攻守ともにプレーから粗さが消えた」。大学、社会人、プロ野球。進むべき道は決まっていないが、「もっとできたと思うので悔しい」という今大会の4試合を今後の糧にする。

 

 

ラッキーボーイから本物の主砲へ

 

岩崎晃太郎(柳ケ浦高校2年)

182cm、80kg、志賀中学校出身(愛知)

 

 柳ケ浦のラッキーボーイとして準々決勝でサヨナラ安打を、準決勝では決勝打となる走者一掃の二塁打を放ち、決勝進出の立役者となったのが2年生の岩崎晃太郎。定岡智秋監督は「持ってる男」と今大会のキーマンに挙げた。

 チャンスの場面で打席が回ると「自分がヒーローになる」と物おじすることなく、楽しめるプラス思考の選手だ。帽子のつばの裏の中央に書いた「大分No.1の男になる」という言葉を見て打席に入り、守備につく。その大きな文字の横に「YDK」「DJB」と書かれている。何の意味かと聞くと「やればできる」「大丈夫」と今どきの高校生らしい言葉が返ってきた。

 入学当時は104kgあった体重を、昨年の冬から走り込みと筋力トレーニングで80kgに絞った。「おかげで動きやすく、スイングにキレが出た」と今大会の活躍の要因を話す。顕著なのはインコースの速球への対応だ。「これまでお腹の肉がじゃまして」と冗談交じりに笑ったが、力だけでバットを振り回すパワーヒッターから、シャープなスイングで長打を狙うスラッガーに変身した。逆方向へも打球を飛ばせるようになった

 決勝戦では、「オレが決めてやる」という気持ちが強すぎ、強引に引っ張る場面が目立ち無安打に終わった。これまで自由奔放に打席に立ち、来た球を打っていたが、初めてプレッシャーを感じたのだろう。「足りなかった部分をしっかり考え、次に生かしたい」と飛躍を誓った。新チームでも主軸を担うだろう。

 

 

(柚野真也)