
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
サッカー
攻守ともに高いパフォーマンスで首位をキープしている大分トリニータ。勢いは簡単に止まりそうにない。強さの秘訣は一体何なのか。快進撃の理由を探った。
開幕から13試合を終えて首位。昨季の上位陣、J1降格組がもたつく中、確実に勝利を積み重ね、選手たちも攻守にわたり自信を持ってプレーしている。自分たちがやるべきことをきちんと把握できているという印象だ。
今季のトリニータは、サイドの選手が広がり、ピッチの幅を大きく使う。攻撃に転じれば高い位置を保持し、タッチ数の少ないパス回しで局面を打開して、多くのチャンスを演出する。GKも加わった丁寧なパス回しを軸に大きな展開も織り交ぜながら相手ゴール前では複数の選手がボールに迫るスタイルを、もう一段階攻撃的に進化させたいという思惑が片野坂知宏監督にあったのだろう。両サイドの松本怜と星雄次が良い働きを見せている。ふたりの特徴であるスピードと運動量が新しいスタイルにマッチして、高い位置でボールを受けたときはビッグチャンスになることが多い。
しかし、トリニータのサッカーが大きく変わったという印象はない。むしろ昨季までやってきたサッカーの“良い部分”をしっかり継続できているからこそ、現在の結果が生まれている。すべての時間帯ではないにしろ、サイドを広く設定したり、前線の選手がコンビネーションで相手を崩しているのが分かる。ただし、それは昨季も徹底していた“ダイレクトプレー”と“ポジショニング”という要素があってこそ成り立つもの。今季は、その精度を高めて実践しているというわけだ。
今季加入の星雄次は見事にチームにフィットした
戦術面でチームの共通理解が深まり組織的に守れている。ゾーンディフェンスを基本として、細かくポジショニングを調整して距離を詰めていき、相手がボールを下げたら押し上げ、前を向かれたらバックする。ラインコントロールに細心の注意を払い、コンパクトな陣形を崩さないようにする。ボール保持者をそこまで追い込むわけではないが、体の向きやパスコースの切り方、プレスのタイミングなど約束事が徹底されており、状況に応じて選手個々かグループでの対応かの判断もできている。
最終ラインとサイド、ボランチの距離感も適度に保たれ、スライドの仕方はスムーズでカバーリングの意識も高い。守備に関してはどれも当たり前のことだが、セオリーに忠実で質が徐々に上がっているのは確かだ。
開幕からの戦いぶりを振り返ると、トリニータはすべての試合で主導権を握っていたわけではない。岡山のような守備の固いチーム、大宮や新潟など戦力で上回るチームには苦戦した。だが、劣勢のときは無理してパスをつながず、自分たちの流れがくるまで我慢強く守って、鋭利なカウンターで得点するパターンが確立されている。首位のチームだからこそ、対戦相手もトリニータのやり方を研究してくる。ゲーム序盤はうまくリズムをつかめないことも、折り込み済みで戦うべきだ。
持ち味である連動したパスワークやハードワークを崩さず戦っていくうちに、相手も運動量が落ちたり、集中力が途切れたり、隙を見せるはずだ。それを見逃さずに一気に攻撃へ転じる。結局、開幕からそれができていたからこそ勝利をつかめたのだ。
片野坂監督によるチームづくりの手腕は大きい
(柚野真也)
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