県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
全国高校野球大分大会 グッドルーザーたち 打倒・明豊からプロを目指す金田龍乃介(中津東3年) 【大分県】
第106回全国高校野球選手権大分大会
2回戦 7月16日 別大興産スタジアム
中津東 000 000 00 |0
明豊 001 040 11×|7
4連覇を狙う王者に立ち向かった。中津東の金田龍乃介(3年)は今大会初登板となった2回戦・明豊戦のマウンドの感触を楽しみながら、一球一球に気持ちを込めた。要所を抑えたが、結果は8回コールド負け。悔しさは残ったが、「明豊打線は強かった。思うようにカウントはつくれたが、決め球を打たれた」と素直に負けを認めた。
中学3年のときに「野球をやめよう」と明豊中から地元の中学校に転校したが、「打倒・明豊」を掲げ、もう一度野球を続けようと決意した。外野手から投手に転向し、対戦を待ち望んだ。新チームになった昨夏に「打倒・明豊」はチームの目標となり、金田はチームの大黒柱としてキャプテンとエースの重責を担った。長吉勇典監督は「最上級生になり、チームが勝つことを優先して動ける選手になった」と金田の成長に目を細めた。
その頃から球速が140キロを超えるようになり、変化球のキレ、制球力が安定するようになった。ひと冬を越したときには最速148キロを記録し、ドラフト候補として取り上げられる存在になった。「今の自分のレベルはどんなものだろうか。明豊打線と対戦したい」との思いは日に日に強くなり、1回戦に勝てば明豊と対戦できることに運命を感じた。
明豊打線相手に力投した金田龍乃介
1回戦は手の内を見せる必要はないと長吉監督が先発を回避し、明豊戦で全力投球できるように仕掛けた。高ぶる気持ちを抑え、挑んだ一戦は苦難の連続だった。初回から生命線の速球のスピードが出ず、六回以外は常に走者を許す展開となる。コースに投げ分け、なんとかしのいだが3巡目に捕まった。4点のビッグイニングをつくられ、「仲間の期待に応えることができなかった」と悔やんだ。「チームを引っ張ることができなかった」と涙した。
「打たれたのは自分の力不足。このレベルでは上では通用しない」と痛感したが、プロ野球選手になる夢を諦めたわけではない。「仲間にいい報告ができるように練習したい」。高校野球は終わったが、これからも練習を続けるという。
気持ちを前面に押し出し、立ち向かった
(柚野真也)