
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
第106回全国高校野球選手権大分大会
2回戦 7月16日 別大興産スタジアム
大分国際情報 020 001 210|6
大分西 000 100 000|1
余力を残しての完投だった。大分国際情報のエース寺尾凌太(3年)は「相手の狙い(の直球)を変化球でかわしながら、内と外でコースを使えた」と気持ちよく汗を拭った。1回戦は6回76球で被安打2、今回の2回戦は9回140球の被安打9と、数字だけ見れば内容は決してよくはなかった。
今回は、140キロ前半の直球を中心にテンポ良くストライクを先行し、決め球のキレキレのスライダーで仕留めた。「三振は狙っていないが2アウトからギアを上げるように言われたので力が入った」と10三振を奪う好投だった。
先週末から続く雨の影響で3度の順延。「モチベーションを維持するのが大変だった」(寺尾)。それでも選手間のミーティング、寮生の仲間と3年間の思い出話に花咲かせ、「最後の夏、少しでも長く一緒に野球をしよう」と気持ちを高めた。
3回戦へと駒を進めた大分国際情報のエース
試合前のブルペンでは肩が軽かった。ボールの回転、コース、高低内外を細かく確認し、繊細な感覚を取り戻した。1回と2回は変化球でカウントを取れずに苦心した。3回以降は指のかかりがよくなり、狙い通りの制球でミットに投げ込んだ。何度も得点圏に走者を許したが、「勝ち負けは時の運。それなら最善を尽くし、悔いを残さぬ投球を」と気負いはなかった。
ライバルたちが「甲子園を目指す」と明確な目標を掲げる中、寺尾は至ってクール。「ベスト4以上を狙いたい」と憧れの舞台の名をあえて出さない。この先も野球を続ける寺尾にとって高校野球は通過点。ただ、高校の大切な仲間と一緒に過ごせる時間は尊い。「次も次も投げる」。本調子はこれからだ。
上り調子の寺尾凌太
(柚野真也)
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