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大分トリニータ 勝ち切る3原則を徹底 天皇杯前回大会王者から金星 【大分県】

大分トリニータ 勝ち切る3原則を徹底 天皇杯前回大会王者から金星 【大分県】

 前回大会王者を相手に金星を挙げた。大分トリニータは「第104回天皇杯全日本選手権」の3回戦でJ1の川崎フロンターレに3-1で勝利し、ラウンド16に駒を進めた。試合後のロッカールームに歓喜の声がこだまする。片野坂知宏監督は「力の差がある相手に、選手がこれまで積み上げてきたフットボールでトライしてくれた」と喜んだ。

 

 格上相手に苦戦は想定内。片野坂監督は「勝ち切るために何が必要か」を選手に伝えた。それは、これまでに何度も言ってきた「強度と切り替えと継続」だった。押し込まれる展開が続いても守備強度を高め、粘り強く守り抜く。いい形でボールを奪えば、一気に攻撃に転じる。一瞬の隙が生まれれば、すぐに失点につながる。その緊張感が選手の集中力を高めた。中盤をフラットにした5-3-2のシステム変更も、個々の役割を明確にするという意味で、特に守備面において奏功していた。

 

 

集中力を高め、最少失点に抑えた

 

 秀逸だったのがカウンターの鋭さだった。リーグ戦から中3日、先発を8人入れ替えて臨んだ試合だったが、出場機会に飢えていた若手、けがから復帰した選手が躍動した。通常であれば相手ゴールに近い位置でボールダッシュを狙うが、この試合は自陣に5枚のブロックを敷いたためゴールまでの距離が遠い。ならばと、スピードと走力でカバーし、一気に攻め上がるロングカウンターを発動。後半16分の先制点は素早く前線にボールを運び、折り返しのパスを小酒井新大がサイドの松尾勇佑に展開して生まれたもの。その2分後の追加点は同じ右サイドから攻撃の矢印をゴールに向け、最後は保田堅心の推進力で打開してゴールネットを揺らした。

 

 3点目は鮎川峻のPKでのゴールとなったが、J1の強豪相手に3得点。試合に出たメンバーは、けがから復帰した者、思うように出場機会を得られなかった者たち。「いつでも試合に出る準備はできている」(保田)、「常にアピールして勝利に貢献したい」(松尾)とギラギラと闘志を燃やす。リーグ戦では思うような結果を出せていないチームの、カンフル剤となる大きな1勝だった。

 

躍動感と推進力をもたらした保田堅心

(柚野真也)