
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
第22節・ヴァンフォーレ甲府戦(6月29日)で、今季リーグ戦初出場したGKムン・キョンゴン。9試合勝ちなしの大分トリニータの流れを変えるキープレーヤーになりそうだ。片野坂知宏監督は「これまでサブだったが、いい準備をしていた。相手の急なプレスに対応でき、落ち着いて後方から攻撃を組み立てることができる」と、ムンの足元の技術の高さに期待する。
2017年から4年間、大分に在籍していたムン。兵役のため退団したが、今季4年ぶりに復帰した。加入当初は、日本のサッカーと流ちょうに話していた日本語を思い出すのに時間がかかったが、慣れ親しんだ大分の生活と時間が全てを解決した。片野坂監督のサッカースタイルも熟知しており、リスクを承知でGKがパスのつなぎに加わってマイボールの時間を長くすることを心がけている。「簡単に蹴ってクリアしない。パスをつなぐだけでなく、相手の動きを見て(パスを通すための)いい場所を探すスピードを上げることを意識している」
甲府戦では、GKを加えた攻撃の組み立てが機能した。これまでの試合に比べてボール保持率は上がり、攻撃の時間が増えた。渡辺新太は「ボールを持てば相手に攻められることはない。パスをつなぐ選手の距離間がよくなったので、ボールを失ってもすぐにプレスをかけて奪い返すことができる。無駄な動きが減り、攻撃にパワーを出せるようになった」と利点を挙げる。
甲府戦で無失点に貢献したムン・キョンゴン
ムンは自分の持ち味を出しながら、「失点しないことが大事。セーブよりコーチング。シュートを打たせないようにディフェンスの選手を動かし、後ろのスペースは自分がカバーしたい」と大前提の守備に重きを置く。それは片野坂監督がGKに求める最大の条件が「ペナルティエリア内のハイボールの処理と守備範囲の広さ」であることを知っているからだ。
無失点に抑え、攻撃の起点となる。「勝てない状況が続いているが、方向性を変える必要はないと思っている。これから暑い日が続く。自分たちがボールを持つ時間を増やし守備の時間を減らしたい」とムン。リーグ後半戦、苦しい戦いが続く中、ムンは大分の最後のとりでとして、その存在感が増している。
守備陣とのコミュニケーションは欠かさない
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択