国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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大分トリニータ 点取り屋へと変貌する呉屋大翔 得点ラッシュの予感漂う
「新しい監督になり、新しい取り組みができている。ベストの状態に近い。いい形で開幕を迎えられる」。明るい表情は、調整の順調さを物語っている。昨夏に得点源として加入した呉屋大翔は、昨季、思うような出場機会を得ることができず2得点に終わった。「今季はゴールに近づく回数が増える。数字は決めたくないが、多くのゴールを奪いたい」。クールな呉屋らしい口調だが、その一言一句から今季に懸ける強い思いのようなものが感じられた。
大分で2年目を迎える呉屋に、目に見える大きな変化はないが、よく目を凝らすと昨季までと違う点に気づく。それがゴール前の落ち着きだ。「昨季は、やることが多く、それをこなしていた。今は考えすぎず、点を取ることに集中できている」。ボールを受けてからシュートまでの一連の動きに迷いがない。ゴール前でも力みがなく、自然に体が動いている。
昨季は点を取ることはもちろん、前線からの守備や、中盤に降りての攻撃の組み立て、味方をフリーにするおとりの動き、スペースを作るためのランニング、攻撃の基準点となるポストプレーなど、仕事は多岐に及んだ。今はファンやサポーター、メディアの見る目も変わってきて、点が取れなくても、それ以外の仕事でチームに貢献できていれば、それなりに認められる風潮になってきたが、呉屋はそれを嫌う。ストライカーの条件で最も重要な「点を取ること」に重きを置く。
開幕に向けて仕上がり順調の呉屋大翔
プロになって5チームを渡り歩き、さまざまな監督の下でプレーした。その都度求められる内容も違ったが、監督のスタイルに合わせることを優先して考えてきた。ただその際に、「自分の武器を捨てるような判断はしなかった」。ゴール前の動きだしや得点感覚は天性のもの。前線からの献身的な守備や体を張ったポストプレーを求められれば、もちろんそれはするけれど、自分の武器は捨てない。武器をそのまま持ちながら、自分に新たな装備を加えて強くなった。総合力の高いセンターフォワードに進化を遂げたが、「ストライカーがピッチで出すべき答えは得点」との自負がある。
今季は4−3−3の最前線に据わり、攻撃の組み立てに絡むことはあるが、ラストパスを待ち、サイドからのクロスに走り込んで足や頭で合わせる場面が増えた。「ゴール前で求められるプレーをして、得点したい」。呉屋が本来の力を発揮できれば、チームを上位に押し上げる原動力になれる。2019年にJ2で日本人最多となる22得点を決めた実績がある。得点ラッシュへの期待は高まる。
得点への強い思いを語った
(柚野真也)