
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
最終戦で今季の集大成を見せたヴェルスパ大分。ヴィアティン三重に2-0で勝利し、19勝5分8敗で3位、J F L連覇はかなわなかったが山橋貴史監督が指揮して1年目のシーズンは、来季に期待を抱くには十分のシーズンとなった。
三重戦は90分間にわたって主導権を渡さなかった。立ち上がりから局面での競り合いは激しく、リードして折り返した後半は、相手の猛攻を受ける時間もあった。しかし、G K姫野昂志、ディフェンスリーダーの浦島貴大のベテランを中心に落ち着きを失わなかった。「ボールを動かす相手に対し、(マークを)はがされる場面もあった。それでも自分たちのリズムでない時も相手に流れを渡さず、コンパクトに守って試合をコントロールできた」と山橋監督が語るように、消耗戦になっても運動量は落ちず、集中力も切れないのが今季の大分だ。疲労の溜まるリーグ終盤戦に入って、前節まで5試合連続で無失点勝利。この試合も後半になって次第に足が止まってきた相手に対し、大分は序盤と変わらぬ守備強度でプレッシャーを掛け続けた。
最終戦でも高い守備強度で無失点に抑えた
今季は開幕から4試合未勝利だったが、その頃から今と同じように、前線から強烈なプレスでボールを奪い、チャンスがあれば躊躇(ちゅうちょ)なくカウンターにつなげ、つなげなければ昨季からのスタイルを継続してボールを保持。攻撃パターンを使い分けた。序盤戦で下位に沈んでいたチームが戦い方にテコ入れする中、大分の「攻撃を生かすための守備をしよう」とぶれずに貫いた戦法は、シーズンが進むに連れて熟していった。キャプテンの篠原宏仁は、「今季は最初から最後までコレがヴェルスパだというスタイルを貫けた。楽しかった」と振り返る。
「最後の最後にこういう試合ができた。チームの成長を感じる」。山橋監督はシーズンを通して進化を遂げた選手たちをたたえた。自分たちのスタイルを貫き、無失点で6連勝と理想的な形でシーズンを締めくくった。昨季はコロナ禍でリーグ戦の試合数が半分となり、勢いで優勝した側面もあったが、今季は34試合の長丁場を戦い、優勝を争える基準となる勝点60を超えた。それは単なる勢いではなく、指揮官が言ったように地力の表れだった。
来季につながるシーズンになったと語った篠原宏仁
(柚野真也)
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