杵築高校野球部 安部 雄大(2年) file.871
野球
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第158回九州地区高校野球大会県予選
4月6日 別大興産スタジアム
決勝
津久見 010 000 020|3
上野丘 103 020 00×|6
シーズンの幕開けとなる第158回九州地区高校野球大会県予選決勝。伝統校同士が激突した一戦は、大分上野丘が津久見に6―3で勝利し、旧制大分一中時代以来、実に77年ぶりの優勝を果たした。
この試合を決定づけたのは、初回の攻防だった。まずは一回表。大分上野丘はいきなり1死三塁のピンチを背負う。ここで踏ん張れなければ、津久見に主導権が渡っても不思議ではなかった。だが、ここで併殺を奪う。松田幸史監督が「流れを引き寄せられた」と振り返った守りで、チームは一気に落ち着きを取り戻した。
その裏である。1番・須藤雅仁(3年)が四球で出塁すると、二塁から三塁へ果敢にスタートを切った。ノーサインの三盗だった。須藤は「一度、けん制されたけど、その後はないと直感で盗塁した」と振り返る。その一歩がチームに勢いを与えた。直後、3番・秦千代丸(同)の打球がライト前に落ち、先制。ピンチをしのいだ直後に自ら流れを引き寄せる。

二回に同点とされたが、チームは揺らがない。三回1死二、三塁で4番・伊藤大泰(3年)がセンターオーバーの2点二塁打を放ち、再び主導権を握る。さらに6番・大塚大和(同)の適時打も飛び出し、この回3得点。五回にも2点を加えた。上位打線の力に加え、松田監督が「下位打線がつながったことが大きかった」と語ったように、この日は打線の分断がなかった。下位がつくり、上位が返す。派手さではなく、線としてつながる攻撃となった。
チームの真価は、むしろ守りにある。今大会全試合に先発した倉光俊輔(同)は、走者を背負いながらも大崩れしなかった。「真っすぐは結構打たれることが多かったので、カットボールを中心に組み立てた」と話すエースは、球威一辺倒ではなく、配球と粘りで勝負した。苦しい場面でも「守ってくれる安心感はすごくあった」と語るように、背後の守備を信じて腕を振った。八回にミス絡みで2点を失ったものの、松田監督は迷わず秦をマウンドへ送る。勝ち切るための冷静な継投だった。

このチームの強さは、突出したスターの存在ではない。19人全員で戦う全員野球にある。19時完全下校という限られた環境の中で、勉強と部活動を両立しながら集中力と切り替えを磨いてきた。須藤も「自分たちは打撃で圧倒するチームではないので、守りを中心にリズムをつくることを意識してやってきた」と語る。守って、耐えて、走って、一瞬の隙を逃さない。その積み重ねが、接戦をものにする力となって結実した。
華やかな強打でねじ伏せた勝利ではない。立ち上がりの守備で流れを渡さず、須藤の三盗で主導権を引き寄せ、全員で守り抜いた勝利である。彼らはこの春、自分たちの野球を最も大事な一戦で証明した。九州大会でも問われるのは同じだろう。ミスを減らし、失点を抑え、全員で勝つ。その揺るがぬスタイルを持つチームは、まだ先へ進める。
(柚野真也)
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