別府翔青高校自転車部 杉本 進之介(新3年) file.915
自転車
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最後の1周、脚は悲鳴を上げていた。それでも別府翔青の阿部理沙(新2年)はペダルを踏み続けた。「表彰台だけは」。その一点に思考を絞り、前を追い、後ろを振り切る。単独走の時間が長い過酷な展開の中で、3位を死守した。
自転車の全国高校選抜大会。前々日のポイントレースでは4位。自ら仕掛ける積極性を見せたが、後半は脚が削られ、勝負どころでポイントを取り切れなかった。「次のポイント周回では必ず得点を取りにいこう」と意識しながら走っていたが、体力とのせめぎ合いに苦しんだ。頭脳と駆け引きが問われる種目で、課題は明確に浮かび上がった。
だが、ロードレースでは違った。十分な休養を取り、「万全の状態」で臨んだ阿部は、持ち味である持久力を存分に発揮する。レース終盤、先頭3人の争いから離されても、ペースを落とさなかった。タイム差を受け止めながら、「とにかく前だけ」を見続ける。後方から迫る集団の気配もあった。それでも振り返らない。「後ろを気にすると気持ちが切れる」。その覚悟が、最後の粘りにつながった。

身長151センチ。決して恵まれた体格ではない。だが、回転数で勝負する。高い回転数でテンポよくペダルを回し、大きな選手に食らいつく。その土台にあるのは、幼少期から続けてきたトライアスロンで培った体力だ。小学校ではサッカーと水泳、中学では陸上。複数競技を横断してきた経験が、現在のしなやかな持久力を形づくっている。
負けず嫌いな性格も、阿部の原動力だ。女子の先輩はもちろん、男子に負けることも嫌う。その意識が日々のトレーニングの質を高めている。一方で、自身の課題も冷静に見据える。「スピードが足りない」。重いギアを踏む力、瞬発的な加速。この大会で痛感した差を、次への伸びしろとして受け止めている。

自転車競技の魅力について、阿部は「スピード感と駆け引き」と語る。相手の動きを読み、自ら仕掛けるか、ついていくかを判断する。その一瞬の選択が勝敗を分ける世界に引かれた。そして今、その駆け引きの精度をさらに高めようとしている。
「もっと練習すれば優勝も狙える」。ロードレース3位という結果は、到達点ではなく、確かな手応えだ。新2年生として迎える今季、目指すのは全国トップクラスとの差を埋め、頂点に立つこと。持久力にパワーとスピードを掛け合わせたとき、その走りはもう一段階上の領域へと進む。夏の全国高校総体で阿部は、次こそ頂点を狙いにいく。
(柚野真也)
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