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トリニータ 「13番を背負うことで僕の意気込みを伝えた」伊佐耕平

トリニータ 「13番を背負うことで僕の意気込みを伝えた」伊佐耕平

 4年間空白だった「背番号13」を今季から背負うことになった、大分トリニータの伊佐耕平。今オフに、鈴木義宜や岩田智輝、三平和司ら、長らくチームの主力として在籍した選手が去り、「いろんなものを背負ってプレーしたい」と強い覚悟を持って、チームに背番号変更の旨を伝えた。大分の13番はかつて「ミスタートリニータ」と呼ばれた高松大樹がつけていた背番号だ。伊佐は「チームにとってもファンにとっても大きな番号であることに間違いはない。ナビスコ(現YBCルヴァン・カップ)優勝のときにカップを掲げた選手で、トリニータを引っ張ってきた中心選手の背番号」と語る。

 

 必要以上に注目が集まることも、プレッシャーがかかることも承知。チームに背番号変更を言い渡したと同時に、高松にも一報を入れ、思いの丈をぶつけた。高松は「クラブのことを考え、自分にもプレッシャーをかけたかったんだと思う。生半可な思いではなかった。伊佐らしいと思った。『自分らしい13番をつくってくれ』と伝えた」という。

 

 伊佐と高松が一緒にプレーしたのは伊佐がプロ入りした2014年から3年間だけだが、伊佐は高松を「チームの象徴だったし、FWとして全てのプレーの精度が高かった」と手本とした。高松が引退した翌年の17年シーズンは、途中出場が多かったが、試合の流れを変えるジョーカーとしての役割を担い、J2であったが過去最高の9得点を記録。18年のJ1昇格の影の立役者にもなった。前線でボールを収めるポストプレーができ、守備ではファーストディフェンダーとしてボールを追う。その献身的なプレーは得点やアシストのように数値で表示することはできない。しかし、この年2桁得点を記録した選手4人よりも試合出場数が多いのは、監督の信頼の証しであった。

 

今季はチームリーダーとして臨む

 

 毎年、伊佐のポジションには力のある選手が加入し、し烈なレギュラー争いを強いられる。今年も、J1で実績のある長沢駿や、勢いのある大卒新人らが加わるが、伊佐のスタンスはこれまでと変わらない。「チームの目標である1桁順位を達成するために自分にできることをする。個人の目標は2桁得点できればいいが、まずはチームの勝利が優先」

 

 チーム在籍8年目のシーズンは、重い荷物を自らの意志で背負った。「大事な選手が抜けたという印象を持っている人は多いが、残った選手がやらなければいけない」と伊佐。かつての13番も、多くの選手がチームを去る姿を見て、秘めた思いを抱え、クラブの成長につながる活躍をした。

 「バンディエラ」。サッカーで、一つのチームだけで現役を続ける選手は、敬意を込めてこう呼ばれる。その覚悟があるのかと伊佐に尋ねると、彼は正面を見据えこう言った。「もちろんそのつもり。ずっと大分でプレーしたい」。今季の背番号13は気概に満ちあふれている。

 

チームの顔となる覚悟を示す伊佐耕平

 

 

(柚野真也)

大会結果