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九州地区高校野球大会県予選 明豊が3季連続23回目V 見据えるのは“結果より内容”の先 【大分県】

九州地区高校野球大会県予選 明豊が3季連続23回目V 見据えるのは“結果より内容”の先 【大分県】

第157回九州地区高校野球大会県予選
10月12日 別大興産スタジアム
決勝
明豊 103 200 030|9
杵築 110 301 000|6

 秋の九州地区高校野球大会県予選が行われ、明豊が杵築を9―6で下し、3季連続23回目の優勝を果たした。来春のセンバツ甲子園につながる大一番。スコアこそ打ち合いとなったが、試合内容は指揮官の胸中に重く響くものだった。

 序盤から明豊の投手陣は制球に苦しみ、6回まで三者凡退が一度もない。攻撃では着実に得点を重ねてリードを広げたものの、4回に4本の長短打を浴びて1点差に迫られる。六回には同点とされ、嫌な流れが漂った。だが8回、5番川口琥太郎(1年)が左中間へ鋭い当たりを放ち、走者一掃のタイムリースリーベース。これで勝ち越した明豊は、最後まで粘る杵築を振り切った。

3季連続23回目の優勝を果たした明豊

 歓喜の輪が広がる中、川崎絢平監督の表情は曇っていた。「優勝しておいて何を言ってるんだと思われるかもしれないが、情けない。野球になっていない」。結果よりも内容を問うその姿勢に、強豪を率いる指揮官の自負がにじむ。走塁判断、配球意図、打撃の選択など。細部に宿る「理屈」が欠けていたことを、川崎監督は痛烈に悔やんだ。

 「考えて野球をしていない。理屈の部分がまるで抜け落ちている。秋は粗削りでも成長の兆しが見えるものだが、今年はそれが感じられなかった」。優勝の陰に潜む危機感を隠さない。3季連続23回目の優勝という記録も、川崎監督にとっては通過点にすぎない。「このままでは勝てない。動かないと何も変わらない」。九州大会に向け、選手の入れ替えを示唆するなど、迷いのない決断を口にした。

 キャプテンの坂田庵(2年)も勝利の余韻に浮かれることはなかった。「連覇の記録を止められないと思った」と淡々と振り返る。伝統校としての重圧を口にしながらも、視線の先はチームの現在地にある。「下級生に力のある選手が多い。でも、結局は2年生が引っ張らないといけない」。言葉には、自らへの戒めと仲間へのメッセージが混じる。
 夏を越えて立ち上がった新チームは、潜在能力こそ高いが、まだ気持ちの波が大きい。坂田は「気分にムラがある。九州大会までに、持てる力をすべて出せるようにしたい」と語り、九州大会での4強入り、そして、その先のセンバツ甲子園に目標を据えた。

キャプテンの坂田は「2年生が引っ張るチームにしたい」と語った

(柚野真也)