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3年生、夏物語 野球 信頼背負い進む 明豊キャプテンの覚悟 【大分県】

3年生、夏物語 野球 信頼背負い進む 明豊キャプテンの覚悟 【大分県】

 第107回全国高校野球選手権大分大会で、明豊は前人未到の5連覇を達成し、11度目の夏の甲子園出場を決めた。チームの中心に立ち続けたのがキャプテンの岡田晴樹(3年)だ。

 17打数9安打、本塁打1本。3番打者として結果を残し続け、チームの屋台骨を支えた。俊足と長打を兼ね備えたバッターとして攻撃の起点となり、勝負どころでの集中力は際立っていた。日田林工との準々決勝では犠飛2本で得点に貢献。決勝の大分舞鶴戦、九回表の同点の場面では、「流れをもってくる。絶対に塁に出る」と強く誓い、先頭打者として右前打を放った。犠打と敵失で勝ち越しのホームを踏み、思いの全てを込めてこぶしを握った。

勝負強いバッティングが光った

 岡田が語る言葉には常に冷静な視線と課題意識が宿っている。「もっと自分たちのペースで野球ができる」「終盤まで流れを維持する工夫が必要」。どんな勝利であっても手放しでは喜ばず、試合の裏側に潜むほころびや、チームの未完成な部分を見逃さない。その目線の鋭さが主将に選ばれた理由でもある。打って、走って、勝つ。それだけでは終わらせない。試合運びの精度、守備の集中力、ベンチの空気感。岡田はすべてを俯瞰(ふかん)しながら、勝利の意味を問い続けている。内容を見つめ、勝ってもなお貪欲に“上”をみつめる姿勢こそが、明豊というチームに「勝ち続ける理由」をもたらしている。

 キャプテンとしてのリーダーシップは、技術や数字だけでは語れない。仲間の表情やメンタルに目を配り、ミスをした選手にはすぐに声をかけて雰囲気を整える。「勝つために必要なことは何か」。その問いに常に向き合いながら、全員を同じ方向に導く存在となった。

 明豊は“個の力”で勝ち切った前年とは異なり、今年は“チーム力”で勝負する集団だと岡田は自覚している。だからこそ「一人一人が勝ち方を理解し、ブレないことが大事」と語ってきた。序盤で先制し、次の回をゼロに抑える。このリズムを保てたとき、明豊は強い。

 川崎絢平監督も岡田への評価は高い。「最低限の仕事を確実にできるのはすごい。でも、あの能力があればもっと上を狙ってほしい」。辛口にも聞こえる言葉は、誰よりも期待を寄せている証だ。

 甲子園への思いを問われた岡田は、仲間や支えてくれる人々への感謝を口にした。「メンバーに入れなかった3年生、家族、保護者など支えてくれた人たちに恩返ししたい」。その言葉に、主将としての誇りと責任がにじむ。

ベンチでもキャプテンシーを発揮する

(柚野真也)