
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
決勝リーグはなく、3日間のトーナメント方式で実施されるようになった県高校総体バスケットボール。女子は前回覇者であり、2月の県高校新人大会で優勝した中津北が優勝候補だが、強化6年計画の最終年となる大分が肉薄する。高校年代の大きな大会は全国高校総合体育大会(インターハイ)と全国高校選手権大会(ウインターカップ)の2つがあり、近年は県内でも強豪校を中心にウインターカップに比重を置く高校が増えている。インターハイが中止となり、その県予選となっていた県高校総体の位置づけは難しいが、それでも多くの高校では3年生の引退試合となるため熱戦は必至だ。
大会参加申し込み期限直前まで熟考を重ねたのが中津北だった。なぜなら新型コロナウイルス感染拡大防止のため部活動が休止となり、練習が制限されていたからだ。心肺機能や筋力、ボールハンドリングが衰えないように、自主練習である程度のレベルは維持したが、「けがのリスクが大きい。ウインターカップを考えると無理をさせたくなかった」というのが大津留礎監督の本音だ。選手も同じように不安を抱えていたが、伝統校であるがゆえに「先輩たちが獲得した優勝旗を戦わずして手放すことは許されない」との思いが勝り、出場を決めた。
中津北が優勝候補筆頭
本来であれば春先から、昨季3位となった全九州春季選手権にはじまり、県外遠征や各地のフェスティバルで経験を積み、自信をつけて県高校総体を制して、インターハイにつなげる青写真だったが新型コロナウイルスによって阻まれた。その代償は大きく、「最も成長する時期を奪われた」と大津留監督。チームづくりに大きな弊害をもたらしたが、選手は、体育館での練習が制限された期間は運動場で、インターバル走などで負荷をかけて自分を追い込んだ。小麦色になった肌は屋内競技に似つかわしくないが、彼女たちの大会に懸ける意思表示でもある。キャプテンの木下菜月(3年)は、「ウインターカップでのベスト8が目標ではあることは変わりないが、中津北の存在を示したい」と強い決意を口にした。
私立や公立、地域や学校によって練習環境はさまざまだが、大会まで1カ月弱。これまでの競技人生の集大成の場となる者もいれば、次へのステップとして臨む者もいる。伝統校と新興勢力の一騎討ちとなるか。3年生最後の意地を見せる伏兵が現れるのか。それぞれの思いを懸けた試合になる。
中津北の絶対的エース、木下菜月
(柚野真也)
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