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県高校新人大会 バレーボール男子 鶴崎工業の躍進光る 4強時代となるか!?

県高校新人大会 バレーボール男子 鶴崎工業の躍進光る 4強時代となるか!?

 5年ぶりに優勝した大分工業の復活劇が注目された県高校新人バレーボール大会だったが、準優勝した鶴崎工業の奮闘も見逃せない。ここ数年は別府鶴見丘と大分南が覇権を争っていたが、小関郁子監督が赴任して2年目でベスト4の壁を破り、優勝にあと一歩まで迫った。鶴崎工業としては1997年以来の準優勝となる。小関監督は「準備してきた以上のことはできないし、求めていない。今できることを100%発揮した結果」と想定内の結果を受け止めている。

 

 コーチから監督となった本年度は、一歩踏み込んでチームをつくった。「ある程度の決まりごとをつくり、練習メニューも選手に決めさせるのではなく一緒に考え、足りないところを補う必要性も話した」と小関監督。目的地までの有効なルートを示唆し、準備するのが監督ならば、そこへ向かって歩みを進めるのは選手たちでしかないと心得ている。答えを与え過ぎては、選手の自発性を妨げかねない。ただ、「選手によってはより具体的な指示を出した方が伸びる。あるいはそれを待っている場合もある」。そのさじ加減は手探りであるようだが、「とにかく選手一人一人と向き合いたい」と技術指導は杉崎亮介コーチに一任し、小関監督は全体を見渡す。

 

 また、技術だけでなく心のトレーニングも必要だと説き、練習や試合に取り組む姿勢、学校生活の態度まで見直した。こう書くと選手を押さえつけているように思われるが、全くの逆で「おとなしい選手が多かったので、バレーのときぐらいはハッチャケよう」と呼びかけた。当初は選手に戸惑いがあったが、秘めた思いを表現する面白さに気づいてからは練習も活気づいた。中学時代の県選抜という肩書、強豪校に名前負けしていた選手が多かったが、練習で自信をつけ、勝つことで成功体験を積み、今では対戦相手に臆することはなくなった。

 

チーム一丸となって準優勝した鶴崎工業

 

 チームには絶対的なエースはいない。身長も高くない。ならば「レシーブを強化し、コンビバレーを磨くしかない」(小関監督)と、いかに攻撃につなげるパスをセッターに返すかを突き詰めた。状況に応じた位置取りも練習から徹底した。できる選手が他の選手を指導することで、教える側も要点が整理でき、互いに高め合うことで一体感も生まれた。「自分たちの長所はチーム一丸となって盛り上がれることだと思う」とキャプテンの佐藤悠斗(2年)。県新人大会では、準々決勝の日田林工、準決勝の別府鶴見丘との試合はどちらもフルセットまでもつれる接戦となったが、一体感で勝ち切った。

 

 決勝では第1セット中盤までは粘り強く食らいついたが、体力的な消耗があり、失点が多かった。小関監督は「15点からのギアチェンジができるようにならなければいけない」と今後の課題を挙げる。エース候補の工藤悠人(1年)は、「技術力の差をカバーする気持ちの強さが必要。相手にマークされたなかで決めきる力が足りなかった。苦しいときに決めるのがエースの仕事だと思う」と自覚が芽生えた。2月の九州大会の目標は「1勝」。地に足をつけた強化で着実に歩みを進めるチームらしい目標だ。佐藤は「僕たちはまだまだ伸びしろがある。コンビネーションの数を増やして、ブロックが追いつかないようなバレーを目指したい」と決意を語った。

 

エースとして期待される工藤悠人

 

 

(柚野真也)