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グットルーザー⑤ サッカー柳ケ浦 延長まで王者を追い詰めたが一歩及ばず

グットルーザー⑤ サッカー柳ケ浦 延長まで王者を追い詰めたが一歩及ばず

 スポーツにおいて勝つために必要な要素は、ひたむきさであり、競技への純粋な愛や情熱であったりする。勝者はその思いが誰よりも強い。敗者は次の勝者になるために心血を注ぐ。今年も晴れ舞台を目指し、県予選を戦った高校生たち。全てを出し切り笑顔を見せる者。悔しさで表彰式では素直に喜べなかった者。ここでは、あと一歩及ばず全国に届かなかった「美しき敗者」を追った。

 

 晴れ舞台を目前に涙をのんだ柳ケ浦・有門寿監督の言葉がすべてを表していた。「結果は残念だったけど選手は本当によく頑張った」。昨年と同じカードとなった全国高校サッカー選手権大会の県予選決勝。互いの持ち味を発揮し、延長戦での決着。打倒・大分を掲げた1年間、4月に指導陣が一新され堅守速攻からの脱却を図ったが、タイトルにはあと一歩届かなかった。

 

 前半は柳ケ浦のペースだった。プレスがしっかり機能し、大分のパスサッカーを封じた。攻撃ではエースの芝崎翼(3年)に後方から長いパスを入れるだけでなく、正確に短いパスをつなぎ、攻撃を組み立てた。17分のCKでは菊口和希(3年)が頭で合わせたが相手GKの好プレーに阻まれる。先制点のチャンスは何度かあったが、得点につなげることができなかったことが、その後に響いた。「前半の早い時間にチャンスがあったので、そこで決めていたらまた違った流れになっていたと思うし、チームに勢いをつけさせることができたと思う」(有門監督)

 

複数でボールを囲い、ボールを奪う柳ケ浦の選手たち

 

 相手のパスに対し果敢に追い続けたが、時間の経過とともに体力を消耗した。簡単にパスを通されるようになり、ボールを奪っても保持する選択をせずに前方に蹴る悪癖が出てしまった。有門監督が「蹴る時間が長くなってしまったので、もっと落ち着いてボールをつなげさせたかった。蹴らせてしまったことに力不足を感じた」と振り返るように、目指すスタイルをすべての時間帯で発揮できなかった。後半途中に芝崎が疲労で思うようにプレーできなくなり、交代を余儀なくされたことで攻め手を失った。

 

 それでも諦めることなくゴールを目指し、延長戦まで王者を追い詰めた執念は称賛に値する。しかし、先制点を許し、その後も3失点。柳ケ浦に反撃の力は残っていなかった。泣き崩れる選手を前に有門監督は「結果は残念だったけどよく頑張った。4月から指導陣が変わって不安だったと思うが芝崎を中心に一つにまとまってここまで来ることができた」と3年生を労い、「2年連続決勝敗退。2年生が数人このピッチに立っている。1年後、この悔しさをしっかりこの場で返そう」と呼び掛けた。芝崎は「この悔しさを忘れずに、まずは(1月の)県新人大会で優勝し、勢いをつけて、この選手権予選で借りを返してほしい」と後輩に思いを託す。小深田隼士(2年)は、「3年生の思いを絶対に無駄にしないように来年ここに戻ってきて、絶対に優勝して全国に行きたい」と決意を新たにした。

 

相手の攻撃を最後まで跳ね返し続けた

 

全国高校サッカー選手権県予選 決勝戦の様子はこちらから ⇒ 試合をコントロールした大分が2連覇

 

(柚野真也)

大会結果