
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
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第97回全国高校サッカー選手権大会大分県大会は10日、大分スポーツ公園サッカー場Bコートで準決勝2試合が行われ、2月の県高校新人大会で優勝した第1シードの柳ケ浦と全国高校総体に出場した第2シードの大分が決勝に駒を進めた。
柳ケ浦は大分上野丘を2-1で退け、13年ぶりに決勝へ進出した。先制したが追いつかれる重苦しい展開になったが、後半21分にこの試合2得点を挙げたキム・チョンニョン(3年)が勝ち越し点を奪った。大分も先制後、同点に追いつかれたが、焦らずに試合を進めオウンゴールで競り勝った。
準決勝
柳ケ浦 2-1 大分上野丘
前半1-0
後半1-1
今大会3試合連続得点中のチン・ソル(3年)と芝崎翼(2年)、キムの強力な前線の選手が、序盤から大分上野丘を圧倒した。右サイドの大村幹太(2年)からのクロスを軸に、ジンと芝崎の2トップが互いに良好な距離感を保ちながら、逆サイドのキムが攻撃に絡む。前半30分の先制点は2トップのマークが分散した隙を突いたもの。芝崎がゴール正面でボールを収め、パスに反応したキムが落ち着いてゴールに流し込んだ。柳ケ浦は得意とする形からの得点で主導権を握った。
後半は一転。同点に追いつかれてからは我慢の時間帯が続いた。「相手が勢いに乗り受け身になってしまったが、後悔しないようにプレーしようと思った」とキム。チャンスがあれば積極的に仕掛け、後半21分にはこの日2点目となる決勝ゴールを決め、チームの勝利に貢献した。
韓国から留学したキムは昨年6月に右の中足骨を骨折し、1年間サッカーができない日々を過ごした。「何のために日本に来たのか」。焦りと不甲斐ない気持ちを整理できずにいたが、「父親のような存在」と慕う野口健太郎監督や仲間に励まされリハビリを続けた。今年の県高校総体前に復帰したが、再び悪化。今大会の1カ月前にようやく復帰した。これまで試合に出られなかった思いを爆発させ、初戦から2試合続けてハットトリックを含む毎試合ゴールで10得点を挙げている。「これまでチームに迷惑をかけた。監督や仲間、そして家族に恩返しをしたい」。決勝戦も自らのゴールで勝利に導くと誓った。
今大会10得点のキム・チョンニョン
準決勝
大分 2-1 大分工業
前半1-0
後半1-1
試合序盤は両チームとも硬さが目立ち、探り合いの様相になった。大分は中盤の3ボランチが巧みにポジションを入れ替え、パスをつないだが決定機をつくれずにいた。「大事に(パスを)つなぎ過ぎてシュートで終われなかった」と小野正和監督。相手の背後のスペースを狙うように指示を出した。
試合が動いたのは前半17分、右サイドの空いたスペースを起点に攻撃を組み立て、ゴール前に詰めていた谷川海翔(3年)がGKの弾いたボールに反応。「ボールがこぼれてきたので相手のGKの動きを見てシュートした」と先制点を奪った。
後半11分に同点とされたが、焦りはなかった。攻守の要として試合をつくった山口卓己(3年)は「狙いとするサッカーはできていた」と振り返るように、長短のパスを織り交ぜ攻撃の形をつくり、守備では高い位置からプレッシャーをかけた。決勝点は前線からの守備が相手のミスを誘いオウンゴール。勝者と敗者を分かつことが酷に思える結末となったが、大分が優勢に試合を進めていたことは明らかだった。
3大会連続の全国選手権を逃し、悔しさから始まった新チームは、個々の技術の高さに加えて守備意識を浸透させ、安定した力を発揮できるようになった。全国高校総体を経験し、確かな自信を手に入れた今季の締めくくり。2年ぶりの決勝の舞台で10度目の優勝を目指す。
先制ゴールを決めた谷川海翔
(柚野真也)
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