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春の高校バレー県予選・女子 大分商業 2つの光が輝くも、タイトルは遠かった

春の高校バレー県予選・女子 大分商業 2つの光が輝くも、タイトルは遠かった

 全日本高校選手権大会(春の高校バレー)県代表決定戦の女子決勝は5年連続同カードとなった。高校1年時から決勝の舞台に立った2人の左右のエースを擁した大分商業だったが、東龍(東九州龍谷)の壁は高く、厚かった。

 

 5年連続の決勝に進出した大分商業のモチベーションは、ピークを過ぎていたのかもしれない。東龍との決戦の前の準決勝・臼杵戦。最終セットまでもつれる熱戦を制し、森栄一郎監督は「あの試合に勝って、そこでぐっと(士気が)上がると思っていたが、あそこで満足感を感じてしまったのかもしれない」と振り返った。それでも、この1戦が3年生にとってラストマッチになるかもしれない。「負けたら最後。準決勝はその思いが強すぎた。決勝の東龍との試合はあなたたちが挑戦者なんだ。もっと思い切ったことができるはず。泣いても笑ってもあと1試合。今までやってきたことを出すしかない」と選手をコートに送り出した。

 

 今年のチームは核となるのが3年生。藪谷理咲、岡部さくらの左右の両エースは、1年の頃から主力として試合に出ている。「あの子たちが入学してきた時に3年後のこの舞台というのが頭にあった」と森監督は構想を練ってきた。2大エースへの信頼は厚く、「チームの光になってほしい。(その光が)2つもあり、みんなが集まることでチームの大きな力になる」と、この一戦に懸けていた。実際、薮谷と身体能力の高い後藤菜摘(3年)のサウスポー2人をライト対角に配置し、岡部と爆発力のある高城優亜(2年)をレフトに置くことで常にサイドアタックができる攻撃型バレーで東龍対策の青写真を描いていた。

 

2人のエースがチームを引っ張った

 

 岡部は「緊張するが他の人よりも経験があるので、得意のインナーコースでブロックを抜き、1点でも多く取りたい。勝って、みんなで春の高校バレーに出場したい」と3度目の決勝のコートに立ち、藪谷も「まずは自分が決めて、そこから流れを持っていきたい」と力強いスパイクでチームを引っ張った。2人が放つ光は仲間を勇気づける。

 この日コートに立った大分商業の選手は2つの光に照らされ、笑顔が絶えず輝いていた。サーブで崩し、東龍の速く、鋭い強打にもひるむことなく、キャプテンの西川桐子(3年)を中心にボールを拾い続けチャンスにつなげる。セッター日高奈都美(3年)は強気にトスを散らし、センターの藤田莉佳(3年)が迫力ある速攻を決める。後藤は豪快に左腕を振り下ろし、スパイクを次々と決めた。王者相手に互角の戦いを見せた。

 

 しかし、シナリオ通りにはいかなかった。「今年はインターハイ(全国高校総体)予選のときに東龍の足元ぐらい見えたが、自分たちが思っていたより東龍の力が上だった。自分たちのプレーもできたが、できなかった方が多かった」。試合後に藪谷がそうこぼしたように、大分商業が描いた筋書きどおりには事は運ばなかった。第1セット序盤こそ接戦を演じたが、東龍の高さと速さの前に連続得点を喫し、最終的には1セットも取れずに完敗。地力の差を見せつけられた。

 

 岡部は「やってきたことを全部出し切れないのは悔いが残った。苦しかったりきつかったりしたけど、自分の力にはなったかなと思う」と語り、藪谷は「3度、決勝の舞台に立ったという誇りもあるので、これからも頑張っていきたい」と次のカテゴリーでの活躍を誓い、コートを去った。2つの光を受け継ぐ高城は、「多くのことを学ばせてもらった。次は自分たちの番。下を向かず、強い気持ちを持って、来年の今頃は3年生にいい報告ができるように頑張りたい」と決意表明。決勝の舞台で味わった悔しさを糧に飛躍を誓った。

 

それぞれ力を発揮したが東龍には及ばなかった

 

(柚野真也)