県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
杵築高校 体も大きく仕上がり、全員野球で頂点目指す
九州地区高校野球大会県予選で見えた注目校の収穫と課題 #07
収穫:全員野球で力を出し切った
課題:ミスを最小限におさえる丁寧な守備
今夏の全国高校野球選手権は100回の記念大会。杵築は2012年の初出場以来、2度目の出場を目指す。夏への明確な課題をつかむために重要な大会と位置づける九州地区高校野球大会県予選で準優勝した。
杵築の選手たちは、今大会の優勝に特別な思いを持ってグラウンドに立った。それは杵築を8年間率いた阿部知巳監督が指揮を執る最後の試合だからだ。「監督の最後の試合で優勝をプレゼントしたい」。その思いを爆発させるように、選手たちはもちろん、ベンチや観客席からも大きな声援が響き続けた。
試合は1回から明豊打線が爆発し、守備の乱れから一挙に4得点を失う。杵築は2回、エースで4番の幡手幹也(3年)の出塁から打線がつながり2点を返す。5点差で迎えた5回、7番竹中力(3年)の安打などで1死満塁の見せ場をつくったが、得点に結びつかなかった。「打線は良かったと思うが、チャンスでの1本が出なかったのが残念」(阿部監督)と、明豊の好守により得点を阻まれたが、打線の成長に手応えを口にした。
試合後、キャプテンの武村勇吾(3年)は、「もっと自分たちの野球ができていれば点が取れていたと思う。阿部監督には言葉では足りないほど感謝の気持ちでいっぱい」と悔しさをにじませた。幡手は「自分の立ち上がりが良くなかった。阿部監督の最後に良い形(優勝)で終われなくて悔しい」と言葉を振り絞った。
決勝戦では6人の投手が継投し、ベンチ入りした20人全員が出場。阿部監督との最後の試合は準優勝という結果で幕を閉じたが、全員野球で全力を出し切った杵築にとっては、夏に向けて収穫の多い大会となった。
全員野球が杵築の身上
監督インタビュー「丁寧な野球ができれば、目標の甲子園初戦突破ができる」
決勝戦はスタートから明豊ペースになってしまい、序盤の試合のつくりかたが大切であるということを改めて実感した。打線の調子は良かったが、チャンスでの1点が取れなかったことと、守備では細かなミスもあり失点が多すぎた。しかし、決勝戦まで勝ち上がり、この時期に公式戦で5回も試合ができたことに意味がある。投手全員がマウンドに立てたという経験は今後の糧になるはず。集中打も出せたし、10点以上取れた試合もあった。選手たちは今の実力を十分に発揮してくれた大会だった。一試合ごとに着実に成長が見られたので、この大会の結果が自信になれば、夏はもっといい結果を残せるはず。
9人だけで戦えるチームではない。一人ひとりが自分の役割を果たして勝ち上がっていけるチームになってほしい。地道なウエイトトレーニングの成果も徐々に現れ、体格も大きく仕上がってきた。体づくりについては保護者の皆さんが食事面の管理をきちんとしてくださった結果でもあり、感謝したい。1プレー、1点、1イニングの重要性を意識した丁寧な野球ができるようになれば、目標の甲子園初戦突破ができるはず。監督としてはチームを離れるが、杵築高校は私の母校でもあるので、OBとして今後も応援していきたい。
異動により杵築での指揮が最後となった阿部監督
(黒木ゆか)