県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
野球
高校野球 4強一番乗りの大分舞鶴、指揮官の采配がズバリ的中
全国高校野球選手権大分大会
準々決勝 7月18日 別大興産スタジアム
藤 蔭 013 110 110 |8
大分舞鶴 000 204 201×|9
劇的なサヨナラ勝ちで4強一番乗りとなった大分舞鶴。同点で迎えた九回、1死二塁でキャプテンの甲斐京司朗(3年)が勝利を決める一振り。最大5点差あった試合をひっくり返した。河室聖司監督は「昨秋からこういう試合があり、その度に諦めずにひっくり返した。(今日の試合は)見事だった!」と選手をたたえた。
この試合は指揮官の采配が的中した。エース奥本翼(3年)が本来の調子から遠く、四回途中5失点で降板したが、「とにかく塁を埋めることを優先しよう」と短打でつなげるように指示。好投を続ける相手投手の140キロを超える直球高めのボールは捨て、低めと変化球に狙いを定めさせた。四回1死一、二塁の場面で打席に立つ甲斐に「初球は変化球でくるからそれを狙え」と声を掛け、甲斐はその言葉を信じ、左中間適時二塁打で2点を返した。
諦めずに戦い抜いた大分舞鶴
采配はさらにさえた。五回2死満塁のピンチの場面で、守備固めとして“守備のスペシャリスト”田中洸太郎(3年)をグラウンドに送り、六回以降は打席に立たせると、2打数2安打4打点と大当たり。河室監督は「バッティングも練習から良かった」と当然の表情。普段はベンチ後方にどっしり構えるが、九回の攻撃前には最前列に来て指示。「俺がここまで来たのは初めてだ。試合が動くぞ」と選手の笑いを誘い、リラックスして打席に立たせた。サヨナラ打を放った甲斐に対しても「腹をくくって打て」と声を掛け、気持ちを奮い立たせた。
チームに勢いをもたらす勝利に、河室監督は「これで力尽きないように、次も全力で持てる力を発揮するだけ」と、さらなる決意を固めた。不調の奥本を早い段階で交代させたことも「準決勝に備えてのこと?」と問うと、「見事救援に成功した坂西(俊平・3年)は素晴らしかった。奥本を引っ張り過ぎた。もっと早く交代して、次に備えて休ませればよかった」と冗談交じりの打ち明け話。
春のセンバツに続き、甲子園連続出場を目指すチームは頂点まであと2試合。ベンチワークと選手が一体となって勝利を目指す。
4打点と活躍した田中洸太郎
(柚野真也)