
大分トリニータ シーズン総括 戦い方を徹底できず低迷、降格危機で現実路線へ 【大分県】
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「王者奪還」を掲げた今シーズンの開幕戦で勝利したヴェルスパ大分。「主力選手がほとんど残ったので、(昨季以上に)質を高めたい」と山橋貴史監督が話すように、大分の「2021スタイル」は、3位で終えた昨季の戦術の踏襲にある。最少失点のコンパクトな守備を維持し、ボールをつなぎながら、最後の部分は選手の個の能力とコンビネーションを生かして得点を増やすことになる。
昨季とほとんど変わらぬ顔ぶれで臨んだ開幕戦は、今季初の公式戦であったこともあり「緊張から動きが硬かった」とキャプテンの篠原宏仁。サイド攻撃やCKから決定機をつくったが、決めきれずにいた。それでも集中力を切らさず、失点を許さずに前半を終えたのは安定感のある証拠だ。
今季もキャプテンマークをつける篠原宏仁
後半は、さらにパステンポを上げて、両サイドにパスを散らしてスペースを作りたかったが、昨季6位のソニー仙台FCも力があるチーム。コンパクトな守備が崩れなかった。スコアレスのまま試合が進み、攻めあぐね、ミスからカウンターを受ける場面が増えたが、在籍8年目の生え抜きアタッカー利根瑠偉が流れを変えた。後半24分に左サイドでボールを持つと、キレのあるドリブルで突破し、クロスに中村真人が頭で合わせ先制点を演出する。山橋監督は「瑠偉の突破が全てだった」とたたえた。
追加点こそ奪えなかったが、その後の試合運びは盤石。中盤の底に位置する篠原が危険の芽を摘むだけでなく、コーチングで味方を動かし、決定機をつくらせずに試合を終わらせた。山橋監督は「30分の1ではあるが、開幕戦で勝つことはこの後の試合にいい影響が出る」と白星スタートを素直に喜び、篠原は「昨年は序盤に苦戦して尻上がりに調子が良くなったが、今年は2年ぶりの優勝が目標。やりたいサッカーをブレずに、突き詰めたい」と語った。
チームは迷いなく一つの方向性に進んでいる―。そんな印象を強くした開幕戦だった。
先制ゴールをお膳立てした利根瑠偉
(柚野真也)
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