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大分南高校書道部 久保平芽生(3年) 涙を力に 人生を変えた書との出合い 【大分県】

大分南高校書道部 久保平芽生(3年) 涙を力に 人生を変えた書との出合い 【大分県】

 「部員のみんなが好きだから、書道が好きになった」。そう言って笑うのは、今年パフォーマンス部長を務めた久保平芽生(3年)だ。書道部で過ごした3年間。磨いたのは文字を書く技術だけではない。先輩や後輩、仲間たちとのつながりが何よりの財産になったと振り返った。

 幼い頃から文字を書くことが好きだった。「字がきれいなことは財産になる」という祖母の教えもあり、文字には親しんできた。高校入学時、小学生の頃から仲の良かった先輩が書道部のOBだったことも後押しとなり入部。そこから本格的に書の世界へ足を踏み入れた。

 1年生から練習を重ね、自主練習にも欠かさず参加した。納得できる一字を求め続け、1年の時の「大分県高校競書展」では特選を受賞。努力は少しずつ結果となって表れた。

休むことなく練習を重ねた3年間だった

 大きな転機となったのが、昨年の第34回国際高校生選抜書展「書の甲子園」だ。部は8年ぶり2回目となる全国優勝を果たした。しかし、久保平自身は個人での入選を逃した。「入選することが周りへの恩返しになる」。そう思っていただけに、悔しさは大きかった。

 そんな久保平を救ったのが仲間の言葉だった。「先輩や仲間がたくさん声をかけてくれた。だから、本気で頑張っている人に、自分も声をかけられる人になろうと思った」。自分が苦しんだからこそ、誰かの悔しさにも寄り添える。その経験は、久保平の書だけでなく、人との向き合い方も変えていった。

 そして、悔しさをそのままにはしなかった。「書の甲子園」後の「中央展」では、当初取り組んでいた課題を変更し、あえて落選した時と同じ課題に再挑戦した。「悔しかったので、同じものでリベンジしたかった」。最後まで自信は持てなかったという。それでも作品は最優秀賞を受賞。部から唯一、「第50回全国高等学校総合文化祭あきた総文2026書道部門」の大分県代表に選ばれた。逃げずに向き合った先でつかんだ結果だった。

仲間の存在があったからこそ、書道が大好きになった

 書道は、自分自身を知る時間にもなった。「書と出合って、今まで向き合えなかった自分の長所や短所を知ることができた」。以前はおとなしく、自分から話すことも少なかった。それが今では仲間へ積極的に声をかけ、意見を伝え、パフォーマンス部長として部を支える。その根底には、3年間指導を受けた顧問・鹿苑晋史講師の言葉がある。「頑張っている人が浮いたり、笑われたりする。そんな部活にするな」。久保平はその言葉を胸に、仲間とともに書に向き合ってきた。そして今、卒業後は書道を学べるコースへの進学を思い描く。

 「今までは具体的な夢がなかったが、書に関わって生きるという目標ができた」。仲間が好きだから、書道が好きになった。書道が好きになったから、自分自身も変わることができた。3年間で得た何よりの財産を胸に、久保平はこれからも自分らしい一字を追い続ける。 (塩月なつみ)