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全国高校選抜大会 重量挙げ女子 恩師と刻んだ日本一 4冠狙う宮園こはく(国東3年) 【大分県】

全国高校選抜大会 重量挙げ女子 恩師と刻んだ日本一 4冠狙う宮園こはく(国東3年) 【大分県】

 宮園こはく(国東3年)の強さは、数字だけでは測れない。全国高校選抜大会の重量挙げ女子48キロ級で頂点に立ったその裏側には、揺るがない負けん気と、自らを信じ抜く精神の強さがある。スナッチ1本目の失敗にも動じず、流れを引き戻して勝ち切った姿は、単なる結果以上の価値を示していた。勝負の場で自分を貫く。その姿勢こそが、宮園を日本一へと押し上げた原動力である。

 日本一までの道のりは、決して一直線ではなかった。全国高校選抜のスナッチ1回目、60キロに失敗。張り詰めた空気の中で流れを失ってもおかしくない場面だった。それでも宮園は崩れない。2回目で60キロを成功させ、3回目には62キロを挙げてトップに立つ。続く得意のジャークでは1回目の80キロをきっちり成功させて優勝を確定させると、2回目は82キロもクリア。最後は自己記録更新となる84キロに挑んだ。成功こそ逃したが、2位に6キロ差をつける堂々たる優勝だった。

全国選抜で日本一に輝いた宮園

 強さの源にあるのは独特の精神状態である。スナッチ前は緊張していても、競技が進むにつれて「自分のゾーン」に入る。「自分の世界に入ったら、自分が一番強いと思える」。その感覚をつかんだとき、周囲への恐れは消え、余裕が生まれる。勝負の土壇場で自分を信じ切れること。それが宮園の最大の武器だ。

 今回の優勝には特別な意味もあった。人事異動により土居雅典監督とともに戦う最後の大会だったからだ。宮園にとって土居監督は、ただ技術を教える指導者ではない。話すだけで気持ちが明るくなる存在であり、ときに厳しく叱りながらも、泣いたあとには「その涙をうれし涙に変えるために頑張ろう」と背中を押してくれる恩師だった。だからこそ宮園は、結果で応えたかった。絶対に1位になる。その思いが、最後まで彼女のバーベルを支えていた。

 もっとも、最初から日本一を狙える選手だったわけではない。中学まではバレーボールに打ち込み、高校ではマネージャーも考えていたという。競技との出合いは、高校入学後の何気ない一言だった。新入生代表のあいさつをした際、土居監督から「足首がいいね。重量挙げ向きだ」と声をかけられた。それが重量挙げを始めるきっかけになった。やってみると、自分でも驚くほどの重量を上げることができた。周囲から「すごい」と言われるうちに、競技の面白さに引き込まれていった。

「オリンピックに出場したい」と語った

 転機は2年時の九州大会にあった。スナッチでまさかの0ポイント。あまりに悔しい失敗が、意識を変えた。「もう絶対にこんな思いはしたくない」。それまで練習を甘くしていた自分と決別し、競技に正面から向き合うようになった。その変化が、全国の頂点へとつながった。

 重量挙げの魅力を、宮園は「重量で自分の強さがはっきり分かるところ」と語る。ごまかしの利かない、実にシンプルな世界だ。だからこそ、強くなる喜びもまた明快である。今後は全国高校女子競技会、全国高校総体、レディースカップを含めた四冠を視野に入れる。目標記録はスナッチ70キロ、ジャーク90キロ。その先には大学での継続、さらに「オリンピックを目指せるくらい強くなりたい」という夢もある。悔しさを力に変え、恩師への感謝を勝利で示した春。宮園は、勝つべくして勝つ選手へと変わりつつある。

(柚野真也)

大会結果