
全国高校野球大分大会 接戦に強い理由 柳ケ浦の本領発揮 【大分県】
野球
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第107回全国高校野球大分大会
7月11日 別大興産スタジアム
2回戦
中津北 000 000 00|0
舞鶴 100 120 21|7(8回コールド)
悲願の夏制覇に向け、大分舞鶴が力強く第一歩を踏み出した。今夏初戦の相手は中津北。投打がかみ合い、7-0の快勝劇で大会の幕を開けた。過去5年間で4度も決勝で涙をのんだ。今年こそ「どのチームよりも長い夏」を合言葉に、頂点だけを見据える。
勝利をけん引したのは、キャプテンで3番・三浦佑樹(3年)だった。3安打3打点と中軸の役割を完遂し、堂々たる主将の風格を示した。「初戦は夏の大会で一番大事。勝ったことが全て」と語るように、過去2度の夏の経験を積んだ主将は、緊張感よりも勝負を楽しむ余裕すら漂わせた。
初回は内野安打からチャンスをつくり、すかさず二盗で主導権を握る。五回には相手バッテリーの隙を逃さず、左中間を真っ二つに破る鋭い2点適時二塁打。八回には三塁を強襲する痛烈な当たりで試合を決定づけた。「舞鶴の3番はチームで一番の打者」という伝統を託された三浦が、圧巻のパフォーマンスで仲間を鼓舞し、スタンドの大声援に応えた。攻守にわたる積極的なプレーで、舞鶴の攻撃のリズムをけん引し、チーム全体の士気を押し上げた。
先発の高橋柊伍(3年)もエース秋田康介(同)に劣らぬ快投を披露した。7回1/3を被安打2、無失点。試合序盤からテンポ良くストライクを先行させ、相手打線を寄せ付けなかった。130キロ後半の力強い直球に加え、低めに沈むチェンジアップで緩急をつけ、打者のタイミングを完全に外した。「甘い球もあったが勝つことが一番」と振り返った高橋だが、要所での粘りと冷静な配球が光った。
2年時から取り入れた2段階フォームも安定感を増し、しっかりと体重が乗ったボールは終盤まで威力が落ちることはなかった。バックの堅守と息の合ったバッテリーワークも奏功し、試合の流れを完全に掌握した。試合後には「次もゼロで抑えたい」と静かに闘志を燃やした。
河室聖司監督は「この夏を勝ち上がるカギは高橋柊伍。打線は中軸が打てば勝てる」と語る。序盤は相手投手の緩い球に苦しみ、思うように得点を重ねられなかったが、舞鶴は試合の中で冷静に修正を施した。特に徹底したのが「打球角度16度」の意識だった。この角度は、内野と外野の間に鋭く落ちる理想的な角度とされ、ヒットになる確率が高い。無理に長打を狙うのではなく確実にヒットを重ねるアプローチを徹底。狙い球を絞って打ち返し、効果的に得点を重ねた。
「緊張よりも楽しみ」を胸に、悲願の夏制覇へ向けて舞鶴は手応え十分のスタートを切った。次戦でも中軸が力強く打ち、投手陣がスコアボードにゼロを並べ続ける限り、夏は誰よりも長く、そして熱いものになるに違いない。
(柚野真也)
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